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8話

「それじゃあ後は、(みなと)をよろしくね」

「「え?」」

「あ、紹介がまだだったね。湊、あの子は私の弟で穂之儀(ほのぎ)悠里(ゆうり)。そんで悠里。こっちの子が私の友達の獅子野(ししの)湊よ」


 親友といってもいい渚のその一言で私の頭はショートする。

 姉弟が来るとは言っていた。

 しかしそれが弟だとは聞いていなかった。

 かわいいだとかこういう服が似合うだとか、見せてもらった写真も完全に女の子だったから妹だと思っていたのだ。


 私の目線ほどの背の高さである渚よりもさらに小さい渚の弟である悠里君は胸ほどの高さしかなくとてもかわいらしいといえる。

 男の子なのに見た目的には元気溌剌な渚よりは少しおっとりしたように見える小さな渚だ。

 うちの筋肉ダルマな弟たちとは似ても似つかない、本当に男の子なのかも疑わしいレベルだ。


「いやー、私そろそろ彼氏と同棲しようかなって思ってたんだけど悠ちゃんが来ることになってたし、湊は生活力皆無だから心配だったんだけどこれで大丈夫だね!」

「……」


 おそらく悠里君は何も聞いていなかったのだろう。

 こてんっと首を僅かにかしげて渚を見ている。

 しかし、徐々に理解が追い付いてきたのだろう。


「な、渚姉さん! 何を言ってるかわかってるんですか!?」

「えー、悠ちゃん怒ってるのー? かわいい顔が台無しだよ!」

「……っ! 怒ってます! 他人を巻き込んでこんなことが許されると思ってるんですか!!」


 目を見開いて、ペチッという何とも気の抜ける音を立てて机に勢い良く手を置く。

 渚にそっくりな可愛らしい顔は、怒っていても可愛くてプルプルと震えながら目の淵が潤んでいるさまは小動物の警戒を思わせる。


「母さんに報告しますからね! 幸い学校が始まるまで一か月はあるはずですからその間に代わりの家を──」


 ここでスマホを取り出した悠里君から看過できない言葉が出てくる。


「ま、待ってくれないか!?」

「──へ? あ、獅子野さん申し訳ありません。僕は渚姉さんの所業を母に報告したらすぐに出ていきますので」

「いや、それを待ってほしい。私が野垂れ死んでしまうかもしれない」

「え?」


 私が割り込んだことで、ハッとしてこちらを見て謝ってスマホをいじり始める。

 その行動をさらに私は止める。

 私の言葉に悠里君は唖然とした顔をする。

 うん……申し訳ない。



しばらく湊視点が続きます。

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