13話
「おはよう」
「おはよう……ございます」
うぅ、顔真っ赤になってないかな?
お互いにあいさつしたところで食卓につく。
「今日のご飯もおいしい」
「ありがとうございます」
「毎日悠里君のご飯が食べられて幸せだ」
「はい……」
なんだか、昨日までと違いたくさん褒められる。
嬉しい、嬉しいけどすごく恥ずかしい!
「ごちそうさま」
「あ、お、おそまつさまです」
「今日は多分昨日よりも早く……19時ごろには帰ってくるよ」
「はい。わかりました」
あまりにも褒められるものだから、食事があまり進んでいなくて先に獅子……湊さんが食べ終わり席を立つ。
湊さんは好意の伝え方がまっすぐで男らしすぎる。
そんなことを思いながら、僕はもそもそとご飯を食べ進めていく。
「悠里君。それじゃあ、私は行ってくるよ」
「あ、ちょっと待ってください」
家を出る前にリビングに顔を出してくれた湊さんに待ったをかけてキッチンから準備していたお弁当を持ってきて渡す。
「ん? これは」
「お、お弁当です。よかったらなんですけど食べてください」
「ありがとう。それじゃあ行ってくるよ」
そして、湊さんはお弁当をもって、ごく自然に何でもないことのように僕の鼻の頂点にキスをして部屋を出て行った。
「ぁ……うぅ」
心臓がバクバクする。
このままだとなんだか色々ダメになりそうだ。
冷静さを取り戻すために今日は食洗器を使わずに洗い物をする。
そういえば、キッチンにはコーヒーメイカーがあるが渚姉さんはコーヒーを飲まないし、もちろん僕のものでもないということは湊さんのものなのだろうか?
「コーヒーか……」
甘いものなら飲めるのだが無糖のブラックなどは飲めない。
しかし、コーヒーメイカーを持っているほどコーヒーが好きなら一度飲ませてもらいたいものだ。
「うーん。今日はカレーにしよう」
カレーの食材で足りないものを買いに行くついでにコーヒーの本を買ってみよう。
隠し味に使うくらいだからきっと相性がいいはずだ。
コーヒーに関する本を買って、コーヒーショップを巡ったあと食材を買っていると予定よりも遅い時間になってしまった。
「はぁ、なんだか疲れた……ふぁ」
料理が終わった後に少しソファーで休んでいると瞼が重くなっていく。
慣れない環境だから疲れでもでたのかな……。
「悠里君」
「ふぇ……?」
肩をゆすられて目が覚める。
部屋の電気がついて、部屋着の湊さんがいる。
「おはよう」
「あ! ご、ごめんなさい、寝てました」
「気にしなくていいよ。どこか体調が悪いとかはないか?」
微笑んで挨拶してくれた湊さんに頭を下げると湊さんはそういって気づかわしげにそう聞いてきた
「は、はい。少し眠くて寝てしまいました」
「そうか、よかった」
僕が何ともないとわかると湊さんは安心したような顔をする。
「その、ご飯の準備できてなくてごめんなさい。すぐに温めなおしします」
「ゆっくりで──」
僕がカレーを温めなおすために立ち上がり湊さんが喋り始めたところで、くぅと湊さんのおなかの鳴る音が部屋に響く。
「──ゆっくりでいい。これはあれだ、あまりにもおいしそうな匂いがするからつい」
「あははっ、ご、ごめんなさい。すぐに準備します」
気を使ってくれたタイミングでおなかが鳴ったものだからちょっとおかしくて笑ってしまった。
今日のカレーはうまくできたと思う。
早く準備して食べさせてあげよう。




