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11話

「おいしい……」

「ありがとうございます。お口に合ってよかったです」

「渚と同じで料理上手なんだな、世話になりっぱなしで本当に申し訳ない」

「別に大丈夫ですよ」


 悠里君の料理はお昼も食べたが本当においしい。

 まだ1日も経ってないのに、世話になりっぱなしだ。

 しかし、悠里君は気にしてないのかニコニコと機嫌がよさそうだ。


「渚にもいろいろ教えてもらってたんだが、よかったら悠里君も時間のある時でいいのだが色々教えてほしい」

「あ、はい。構いませんよ」


 共同生活でこのままというのはまずいだろう。

 甘えすぎてしまわないように、教えを乞う。


「あの、すみません。お風呂の準備できてるんですが後と先どちらがいいですか?」

「引っ越し初日で疲れているだろう? 先に入ってくれ」

「はい。それでは先に頂きますね」


 いつの間にそこまでしていたのだろうか?

 お風呂は後でも先でもどっちでもいいが、悠里君は引っ越してきたばかりで疲れもあるだろう。

 先に入浴することをすすめる。


「ふぅ、ごちそうさまです。お先に失礼します。洗い物は流しにおいておいてください」

「あぁ、分かった」


 小食なのかそんなに量がないために私よりも先に食事を済ませた悠里君が食器を流しに持っていき部屋を出ていく。

 私もそのあとすぐに食べ終わり、食器を流しにおいてリビングでテレビを見る。


「ふむ……皿洗いぐらいしておいた方がいいか?」


 テレビを見ていたがさすがにすべてを悠里君にさせるのは申し訳ない。

 食洗器の使い方はいまいち分からないが、皿洗いくらいならできる。

 ここで少しくらいは手伝わなければいけないだろう。




 ガッシャーン!

 そんな音を立ててお皿が割れる。

 勢いよく出してしまった水があたりに飛び散っている。

 私はあわてて水を止めるがすでに手遅れだ。


「ど、どうしよう」


 悠里君のお皿まで割れてしまっている。

 謝るのは当然として、流しだけではなく外まで飛んだ破片はどうしたら……。


「獅子野さん? えっと、これはどうしたんですか?」

「悠里君……すまない!」

「大丈夫ですよ。……破片が危ないのでとりあえずこっちに来てください。ちょっとタオル持ってくるので待っててください」


 悠里君は現状を軽く確認すると、そういって部屋を出ていく。

 あぁ、また迷惑をかけてしまった。




「本当にすまない!」

「いえ、別に問題ありませんよ。ここは僕が片付けておくので先にお風呂どうぞ」

「いや、だが……」

「濡れてますし、風邪をひいても大変です。それに明日は仕事なんですよね? 気にせずにお風呂に入ってきてください」

「あぁ……」


 悠里君のお皿まで割ってしまったことも謝罪したのだが気にしてないといわれ、お風呂をすすめられる。

 私がいても邪魔にしかならないだろうから大人しくお風呂へ向かう。


「はぁ、上手くいかないな」




 急いでシャワーを浴びて、少しだけ湯舟で体を温めてお風呂を上がったのだが、戻ったころにはほとんど片付いていた。


「すまない、急いだんだがだいぶ片付いてしまっているな」

「もう上がって……っ!? な、なんて格好してるんですか! 下! ズボンか何か履いてきてください!」

「あ、す、すまない! すぐに履いてくる!」


 声を掛けて振り向いた悠里君が目を見開いて次の瞬間には顔を赤くする。

 そして、目をそらして私のほうを指さしながら怒鳴るように声を荒げる。

 私もすぐに自分の格好を自覚して、謝ってその場を離れる。

 実家だと弟に苦言を呈されることはあったが特に気にしてなかったし、渚は同性だからそこまで気にされることもなかったがこれでは痴女もいいところだろう。

 全く私は何をしているんだ……。



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