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ク○ゲーの乙女ゲームに転生してしまった人々

ヒロイン?全力で回避します!

作者: 箱庭

短編「ヒロイン不在」のヒロイン側のお話です。

(「ヒロイン不在」は悪役令嬢側のお話です。)

作品は交差していませんが、作中に出てくる「乙女ゲーム」は同じゲームです。

転生したら村娘A(5歳)でした。

・・・・

うん、なんだこりゃ。しかもヒロインだったりもする。

うーん。口外するとアタマオカシイ認定されるやつですね。黙っておきましょう。

しかし。なぜ村娘なんだろう。ふつうは町娘じゃね?村とかアリエナイっしょ!

まあ、転生しちゃったからには今更仕方ないんですけどねー。

しかし、メンドクサイなあ。ヒロインか。

13歳になったら学園に通って艱難辛苦乗り越えて攻略対象を落として、卒業と同時に幸せになりましたーーってやんなきゃダメなやつか。

・・・・・・・・・・・・

よし、回避だ。ヒロインになるのは全力で回避!決定。

回避するには、なんだっけ。うーん、町に住まなきゃいいんだっけ。たしか町で騒動があって私が巻き込まれて解決して。男爵家の後ろ盾が出来て学園に通う羽目になるんだったような・・

村にヒキコモリ。うん。そうしよう!決定。

村娘Aとして立派に生きよう!


‐―――――――――

気が付いたら王都近郊の男爵家へ行く馬車にゆられていました。10歳。

いや、まだあきらめるな。ヒロインへの第一歩の「男爵領家の住民」、これを回避さえすれば!

村に遊びに来てた男爵家の奥様のケガを指パッチン魔法で治癒しちゃっただけだから。そのお礼にと男爵家にお呼ばれしただけだから!

ってか、男爵家の奥様がなんで村に遊びにくるかなー?ウチの村の特産品の織物染物のファンだからって、作ってるとこ見たいからって、わざわざ村にくるかなー?お貴族様の考えんさることは一介の村娘にはわからんでなもう。って方言使ってみれば良いかな。

指パッチン魔法・・なんだそりゃ?って思うでしょー。私もそう思う。

魔法はある世界だから、属性の魔法が使えるのは問題ない。

問題なのは、私の魔法の発動条件。「指」を「パチン」とするだけで。火が出る水が出る氷が出る風が起こる、さらに怪我も病気も治る。前世だったらパチパチパッチンの芸人さんとコンビ組んでたのかもしれない。いやいやそうじゃなく。前世でプレイしてたネットの乙女ゲームのヒロインがね、どんなピンチも「指パッチン」すれば解決!っていうね。なんともまあ・・なんて言っていいのかわからなくなるようなシロモノだったんですよ。他の人の魔法の発動条件は杖やら呪文やら魔法陣やら多種多様なのに、ヒロインだけが指パッチン・・・

はあ。どうせなら私も杖とか魔法陣とかカッコいい発動条件が良かったなー。ほんと、あのゲーム、なんでなんだろう。豪華声優陣に豪華神絵師のスチルに豪華アーティスト使って製作されたのに。なんでなんだろう、ストーリーがものすごくダサいのは。ダサいというか、中身がスカッスカでなんでもかんでもヒロインの「指パッチン」で解決して攻略対象にもすぐ惚れられて、ストーリー追うのがバカらしいほど中身が無い。なのにネトゲ廃人まで出したほどに人気が出たのは。

神絵師の豪華すぎるスチル。その数把握できないほど。なんせ、攻略対象の好感度10%刻みで表情が変わる・背景も変わる・声質も変わる・いちいちスチルとなってモニタ全面に表示される。それが、朝昼晩の時間帯にも全て変わり、コンプリート目指す人が多かったから。課金つぎ込むと色違いの攻略対象も出るという、なんだそれ格闘ゲームの2pバージョンかよ!ってツッコミしたくなるほどの凝った作りだったし。それだけ豪華なんだから裏ルートがあるにちがいないって躍起になってた人もいたらしい。

私はそこまでやり込めれなかったけどね。だって高校生だったんだもの。時間もお金もなかったからねえ。

指パッチンで魔法を使うヒロインなんて、このク○ゲー「ラブなハートに狙い撃ち」だけだよ、きっと。指先ひとつでダウンさせるのはヒーローだしね。

っと回想してたらついちゃったよー男爵家。

さて、いかに男爵家に逆らわずに、町に引っ越しをさせられない方法をかんがえなきゃなー。

ああ、めんどくさい。


‐―――――――――

よし、回避!ふふん、10歳児を舐めるなよ~こちとら、見かけは10歳でも中身は16歳なんだぜ!

ま、まあ、魔法制御がうまくできないって一部屋焦がしたのは申し訳なかった。ついでに魔法の先生のお髭を焦がしたのも・・ごめんなさい。


町に引っ越して「男爵領家の住民」になって学園に通わなければ、村に引きこもってれば!私のヒロイン回避は成功、バンザーイ!になるはず。

よし、これからも気を引き締めて行こう!


‐―――――――――

数年後、私の隣にいるのは。

村の幼馴染の青年。ふふ、やったわ。ヒロインとしてではなく、村娘Aとして立派に一人前になったわ!

去年、この国の皇子様も幼いころからの婚約者候補の一人と無事ご結婚された。

ゲームでは婚約者候補たちが悪役令嬢の役割だったけど・・ほんとに悪人だったら周囲の大人たちが止めるでしょうし、他の攻略対象者もみんな幸せにご結婚されたっぽい。

田舎だからねー王都のお貴族様のお話なんて噂でしか聞けないんだけど、今のところこの国は平和だ。

私はヒロインにならなくて済んだ。

今日は私の結婚式だ!

ああ!全力でヒロイン回避してきてよかった!

私、村娘Aは、村で幸せになります!


・・

・・・

・・・・

村の幼馴染の青年、攻略対象者ってことは・・・ないよね!きっと。たぶん。


ク○ゲーな世界に転生しちゃったら役割捨てて逃げたくなるよね。

そのうち乙女ゲームの「ラブなハートに狙い撃ち」を書くかもしれません。

おもいっきりの「ヒロイン史上最強ご都合主義」なゲームシナリオになります。


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