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説明回が長くなってしまい申し訳ないです!
「それじゃあ、さっそくレクチャー始めるわね――『モードレクチャー起動』」
新宮がそう言うと、一心の視界に『haruから、レクチャー申請が来ました。承諾しますか?』というウインドウが表示される。
一心はソレの承諾をタップする。
すると、一心の視界が変化する。
視界の右端に5つのメモリが刻まれたゲージが、二本表示させる。
「まずは、全ての基本になる対人戦の説明をするわね。視界の端にゲージが二本表示されたでしょう?」
「あぁ、赤いゲージと、その下に緑のゲージが横向きにな」
「赤いゲージが相手のHP、緑のゲージが自分のになるわ」
「このメモリは?」
「対人戦はポイント先取性。5点が持ち点で、先に全部取った方が勝ち」
身振り手振りを交えてそう説明する彼女に、一心はフェンシングや剣道見たいなものかと想像する。
「もしかして、斬る場所でポイント違ったりする?」
「えぇ、その通りよ。四肢がそれぞれ1ポイント、胴体が3ポイント、首から上が5ポイントになっているわ」
「まさしく剣道みたいだな」
「ゲームのベースになっているとは思うわ。ただ剣道やフェンシング等とは違って、ポイントを取るたびに仕切り直ししたりはしないわ」
それはつまり、ゲームセットまでノンストップ、展開はかなりスピーディーかつハードなものとなる。
「一旦ちょっと基本的な動きをやってみましょうか。まずは、その剣で私に斬りかかってみて」
「お、おう」
そういって剣を構えて新宮に向き直る一心だが、ここで「女子相手に剣を振り下ろす」という行為にちょっと抵抗を感じた。
「な、なぁ新宮。お前、斬られても痛くはないんだよな?」
「えぇ、少し衝撃を感じる程度で痛くはないわ。不安なら、先に私がやりましょうか?」
「あぁ、たの――」
そう言いかけた瞬間、一心の頭をかち割るように素早い一閃が振るわれる。
斬られた瞬間、頭部に軽い衝撃が走る。
「どう? あまり痛くないでしょ?」
「怖っ!? 怖いわ、いきなり殺されたかと思ったわ!?」
突然の鬼気迫る攻撃に、一心は本気でビビった。
ARだとはわかっているとはいえ、感じる剣圧には殺気が乗っていた故、剣道など実体のある物を振るわれたような感じがした。
「いや、だって剣を振るう時は本気で振らないと相手に失礼じゃない?」
そんなことをきょとんとした表情で言う新宮に、一心はうすうす感じていた予感が的中したことを確信した。
――コイツ、ガチ勢だ。
「そんなことより、痛みは感じなかったでしょ? だから遠慮なく私に振るってみて」
「わかったよ」
そういって、僅かに意趣返しの気持ちを含めて思いっきりARの剣を振り、新宮を肩から袈裟斬りにする。
その瞬間、ナニカを叩いたような感触が、剣を握った手に伝わる。
「どう?」
「――なんか、妙にリアリティがあって、変な感じだ」
「ソレがあるからこそ、このゲームはゲームとして成立するのよ。視界の端のゲージを見てみて」
言われて視線を端に向けると、そこには3つのメモリが減った赤いゲージが表示されていた。
「成る程、こうやって攻撃するのか。防御はどうすればいいんだ? 避けるだけ?」
そう問いかける一心に、新宮はかぶりを振る。
「いえ、無論避けるのも基本だけれども、相手の剣が当たる前に、その剣に自分の剣を当てることで防御ができるわ。そうすると当たり判定が無くなるの」
つまり、剣同士で激しく打ち合いながら隙を見て有効打を叩きつけ合う、非常に激しい戦いが行われるということかと、一心は把握した。
その現代では見ることのない、まるでフィクションのような戦いをするということに、一心はゾクゾクとした興奮を覚えた。
忘れていた闘争心が熱を少しもった様な、懐かしい感覚だった。
「それじゃあ、一回実戦形式でやってみましょうか」
そういって、新宮は目の前で指を3本立てる。
「ハンデとして、私は三分間一切攻撃しないわ。そして志村くんは、どこでもいいから、私に一太刀浴びせれば勝ちということで」
「それは、流石に舐めすぎじゃないか? 俺、こう見えても――」
そう言いかけた一心の言葉を、新宮が遮る。
「大丈夫、私は最強だから」
新宮は、不敵に笑った。
次回より、とうとうバトル開始!