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ブレイド&ブレイド~ARの刃、鮮やかに舞う~  作者: 宇奈木 ユラ
第二章 拡張現実は、鮮烈に
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2-3

さて、ここからAR×eスポーツの本領発揮です!


▽▲▽



「――来たわね」


 そしてその日の夜7時。

 動きやすいようジャージを着て、約束の時間通りにグラウンドに到着した一心は、仁王立ちして彼を待ち構える同じくジャージ姿の“七崎のラスボス”と出会った。

 いや、なんで彼女はいちいち立ち振る舞いが高圧的に映るんだろう、わざとかな。

 なんて一心は一瞬思ったが、昼間の彼女の言葉を信じるなら、多分意図していないんだろうと結論付けた。


「金城は、大学の用事で今日は欠席。けど安心して、道具は既に借りてきたわ。こっちに来て」


 そう言うと彼女は、持ってきたリュックの中から三つのアイテムを取り出した。

 まず手渡したのは、以前観戦時に一心も着用した、あのゴーグルである。


「視覚に拡張現実を反映させるARデバイス【HORUS】よ。コレのつけ方はわかるわね?」


「あぁ」


 そういって一心はソレを受け取って、装着。

 電源を入れると、透明なディスプレイの視線上にさまざまな起動メッセージが浮かんだ。


「次に、このチョーカー、疑似感覚デバイス【アナザーペイン】」


「疑似感覚?」


「これを首に付けて、コードを【HORUS】に接続すると、拡張現実で見たモノに触れたりすると実際に触ったような感覚を得られるの」


「マジか! へー、科学ってのはそこまで進化しているのか!」


 かがくのちからってすげー、なんて月並みな感想を抱きながらも、おとなしくソレを首に付け、コードをゴーグルに接続する。

 すると、視界に『接続しますか?』というメッセージが表示される。


「えっと新宮、なんかメッセージが出たんだが、コレどう操作すればいいんんだ?」


「スマホみたいに、そのポップアップしたメッセージに触れて操作できるわ」


「え、触れる?」


 そういっておそるおそるそのメッセージウインドに手を伸ばすと、感覚こそなかったが、しっかりと手に合わせて反応した。


「お、おぉ!」


「【NEW WORLD】の操作は、それと音声認証で行う」


 それに謎の感動を覚えながらも、『はい』を押して【アナザーペイン】とゴーグルの接続をする。


「最後にこれだ、【ハンドコントローラー】。これが、ゲーム内で剣になる」


 新宮が手渡してきたソレを、受け取る。


「――ん?」


 その際に、ナニカ引っ掛かりを覚えたような声を新宮が出す。


「どうした?」


「いや、何でもない」


 そう言った新宮から視線を逸らし、一心は【ハンドコントローラー】を眺める。

 円筒状のグリップの形をしたそれの、柄頭の部分にあるスイッチを入れる。


「これは、ウインドでないんだな」


「えぇ、これは自動接続よ」


 そう言いながら、新宮も慣れた手つきで自分の3セットを準備する。

 用意が終わった新宮は、一心をみてこう問うた。


「準備はいい? 始めるわ」


「大丈夫だ」


「それじゃあ、私の後に続いてこうしゃべって」


 新宮は、ここでコホンと咳払いをして、佇まいを正す。


「『アプリケーション、【NEW WORLD】起動』!!」


 それに続いて、一心もその言葉を復唱する


「あ、『アプリケーション、【NEW WORLD】起動』」


 瞬間、炎と氷で彩られた【NEW WORLD】のタイトルロゴが、浮かび上がる。

 それと同時に、ゴーグル越しの視界が鮮明化した。


「アプリケーションが、貴方の視力をもとに適正な補正を視野にかけたの」


 そういう彼女の方に、一心が視線を向けるとそこには、蒼の光を放つメカニカルな剣を握った新宮がいた。

 それを見た一心は、あわててコントローラーを握った右手を上げる。

 右手には、いつの間にか深紅の光を宿した、近未来的な剣が握られていた。


「――すげぇ」

 

 そういって、彼は軽く振ってみる。

 重量は、コントローラーと同じだけ。

 だが、長物を振るった時特有の、剣先が空を切る感覚は、しっかりと腕に感じる事が出来た。

 懐かしいその感触に、不意に一心は泣きそうになった。


「――どう? すごいでしょ」


「あぁ、すげぇ」


 その一心のリアクションに満足した新宮は、誇らしげにこう言った。


「志村君、ようこそ【NEW WORLD】へ」


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