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▽▲▽


「驚いたわ。まさか志村くんがここにいるなんて」


「い、いやその、ごめん」


「何故謝るの?」


「こっそり覗くみたいなこと――というか、まんまなことしちゃったし」


 ばつが悪そうに一心は言う。

 それに対し、新宮はふうと嘆息する。


「別に気にしないわ。他人の視線なんて」


「それより!」


 そんな二人の会話に割って入った青年は、一心の肩を掴んでこう言う。


「どうだった! すごかったでしょ、『NEW WORLD』!」


「『NEW WORLD』?」


 頭にハテナを浮かべて困惑する一心に対し、新宮はいたって冷静に、青年に静止をかける。


「待って金城さん。彼、困っているわ。何をどこまで説明したの?」


「――う、何も説明していなかった」


「あきれた」


 冷たい瞳で青年――金城を見つめる新宮に、彼はちょっとたじろぐ。

 コホンと咳払いをした金城は、こう切り出した。


「君、えーと志村くんだっけ?」


「は、はい」


「君は、AR――拡張現実という技術を知っているかい?」


「はい、詳しくはないのですが、何となくは」


 AR(拡張現実)。

 それは、近年開発された新しい技術で、人間が知覚する現実環境をコンピュータを用いて拡張するというものである。

 簡単にいうなら、人間の視覚にデジタルなヴァーチャルを反映させる技術とでもいうべきか。


「そう、彼女がやっていたのはその拡張現実を用いた『NEW WORLD』というゲーム――いや、eスポーツさ!」


「eスポーツ、また最近よく聞くワードですね」


 eスポーツとは、簡単にいうなら競技化されたゲームのことである。

 海外では、既に一定の地位知名度を獲得しており、プロスポーツ選手と同じレベルの賞金が課せられた大会だって珍しくない。

 おそばせながら日本でも、近年ようやく認知されてきた分野である。

 プロゲーマーという職業が、最早鼻で笑われる時代ではなくなってきたのだ。


「『NEW WORLD』は、大きく分けて対人戦を行う『ヴァーサス』と、仮想エネミーを討伐するタイムを競う『エネミーハント』の二種類があって、彼女がさっき行っていたのは後者さ」


「へー!」


 拡張現実もeスポーツも近年よく聞くワードではあったが、一心にはあまり実感がなかった。

 あくまでTVの向こうの世界の話だと思っていた。

 それが、今こうして目の前にあるということに、ちょっとした感動を覚えていた。


「で、僕たちは『NEW WORLD』をプレイするクラブチーム、【エインヘリヤル】。クラブっていってもまだ発足したてで、二人しかいないんだけどね」


 そういってはずかしそうに笑う金城。

 それでも、彼の笑顔には、心の底から楽しそうな感情がにじんでいた。


「すごいですね。俺も新宮が戦っているのを見て、ちょっと興味がわきました」


「そうか! それならちょうどよかった!」


「――はい?」


 金城は、がっしりと一心の両肩を掴んでこういった。


「どうだい、僕たちと一緒に『NEW WORLD』をやってみないか!?」


 瞳を輝かせて、金城はそう一心を勧誘した。

 それに、一心は少し考え込む。

 今回目撃した光景はかなり衝撃的で、この誘いはかなり魅力的だ。

 実際、ちょっと興味もある。

 そうして、一心が出した回答は、こうだった。


「――お断りします」



此処まで読んでいただき、ありがとうございます!

次回からは、毎日一話予定です!

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