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ブレイド&ブレイド~ARの刃、鮮やかに舞う~  作者: 宇奈木 ユラ
第四章 二人の刃は、流麗に
24/28

4-4

「行くぜ、新宮!!」


「やるわよ、志村くん!」


 瞬間、二人は二手に分かれて走り出した。

 一心は右、新宮は左から、はさみ打つように疾駆する。

 二人の動きはシンクロするように美しく流麗な動きで、同時にケルベロスの両横を過ぎ去りざまに左右にある頭を一閃する。

 ――この流れは、「ケルベロス」というモンスターの特徴を前提に、一心と新宮があらかじめ打ち合わせていた動きだった。

 ケルベロスには、急所となる首が三つあり、その弱点を積極的に狙っていこうという話だった。

 だが、首が三つあるということは、その首を全て落とさないと勝てないということでもある。

 事実、その要素は、メモリ15個分という一心たちの三倍に相当するHPで表現されていた。

 この膨大なHPを見て、二人はハイスコアを目指すには、三つの首を最速で落とすしかないと結論付ける。

 それを事前に擦り合わせていたからこその神風の如き速攻が実現された。


「しっ!」


 そしてその刃が振るわれた瞬間、二つの刃は同時に空を切る。

 ケルベロスが、真後ろに大きく跳躍したのだ。

 跳躍と同時に、ケルベロスの三本の尾の先端が、金属のような剣呑な光沢を帯びるのを新宮は見逃がさなかった。


「何か来る!」


 小さくまとめたその一言で、一心も警戒心を強める。

 瞬間、その先端が刃の様な鋭い光沢を帯びた尾が、伸びた。

 槍のように、矢のように飛来するその尾を、一心と新宮は横に跳んで回避する。

 この動きも基本動作の一つとして、一心が新宮たちから教わったモノだ。

 突きをはじめとした“点”の攻撃は回避、剣戟は“線”の攻撃なので、自身の剣で相殺して防御。

 ソレの教え込まれた基本の動きで一心と新宮の位置が一瞬交差する。

 一瞬の交差で位置が逆転し、そのままケルベロスの着地点に向って二人は

走る。

 ケルベロスは後方に着地し、そのまま右手側――新宮に向って三つの巨大な咢を開き、飛び掛かる。

 攻撃は横に三つ分、噛みつきではあるが範囲は広い。

 そんな攻撃を、彼女は前に跳びこみ、飛び掛かったケルベロスの真下に潜り込む。

 そのまま真下で腰を捻り反転し、その胴体を腹下から縦に切り裂いた。

 一心の視界に映る赤いHPゲージの内、メモリ3つ分が消失する。

 ――だが、それではまだ足りない。

 残りHPは12もあり、同じ胴を切り裂いて攻撃するなら、あと4回は攻撃しなければいけない。

 ケルベロスの腹部下を通り、後方に抜けた新宮に攻撃を躱されたケルベロスは、鋭い尾を横なぎに振るう。

 大きな回避行動を取ったばかりで姿勢を崩している新宮は、その攻撃に回避も防御も取りづらい状況にあった。


「こんのっ!」


ケルベロスと新宮の間に瞬時に割って入った一心は、すかさず刃を振るい、その尾を弾き返す。

 三本の連続して振るわれた尾を、素早い切り返しで続けざまに弾き、新宮の背中を守る。


「――ありがとっ!」


 その一心が稼いだ僅かな隙に、新宮が態勢を立て直し、一心の背後から彼女が走って抜き去る。

 尾の攻撃に注力していたケルベロスに接敵すると駆け抜きざまに胴体を裂くように刃を走らせる。

 逃げるように身体を逸らすケルベロスだが、その身体の動きに追随して新宮も剣先を追わせる。

 そして剣先は、そのまま首を――三つの内の右側の首を取らえる。

 瞬間、勢いをつけたその剣閃は、その首を斬り飛ばした。

 ケルベロスが、走る激痛に悲鳴を上げた。



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