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ブレイド&ブレイド~ARの刃、鮮やかに舞う~  作者: 宇奈木 ユラ
第四章 二人の刃は、流麗に
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4-1


 一心の意志表示があったあの日から、三日後の土曜日。

 駅前の、彼女曰く「よくわからないオブジェ」の前に、集合指定時間である13時のおよそ15分前に到着した一心が見たのは、相も変わらない黒いジャージを着てバックを背負ったラスボス様の姿だった。


「あー、ごめん。待たせた」


 そういって近づく一心に対して、新宮はふるふるとなんでもなさそうにかぶりを振る。


「謝る必要はないわ。志村くんも時間前に来たんだし――さて、問題は金城さんだけど」


 そう新宮が言ったタイミングだった。

 一心たちの近くに青い軽自動車が止まり、中から見慣れた青年が出てきた。


「あれ、二人とも早いね。てっきり僕が一番かと思ったに」


 そんなことを言いながら金城が二人に近付いてくる。

 金城はそして後ろの軽自動車を指しながらこう言った。


「じゃあ、ちょっと早いけど会場に向かおうか。二人とも乗って」


「はい、今日はよろしくお願いします」


 一心はそう言いながら新宮と共に乗り込む。

 後部座席に乗り込んだ一心と助手席に乗った新宮を見てから、金城も運転席に乗り込む。


「いやぁ、いつも新宮くんって待ち合わせ時間ギリギリにくるから、今日もそうかと思ったら全然早かったね! よっぽど今日が楽しみだったんだろ――いたっ!」


 金城のセリフの途中で彼の肩に新宮の拳が入る。

 そんな新宮の顔は、心なしか少し赤くなっていた。


「じゃ、じゃあさっそく会場の市営体育館に行こうか!」

 金城はそういって軽自動車を発進させる。

 見知った街中を走る中、金城は一心に話しかける。


「いや、本当にありがとうね、志村くん」


「いいえ、そんな」


「僕は今年で19歳になったから、新宮くんと同じステージには立てなくなっちゃってさ。この界隈は18歳以下とそれ以上で大会とかも変わっちゃうからさ」

 そういって金城はたはははと笑う。

 ――【NEW WORLD】には年齢による階級がある。

 18歳以下の【U18】と、年齢制限なしの【Over】クラス。

 【U18】には、それ専用の大会やミッションが設定されていたりする。

 以前は金城も新宮と同じ階級でやっていたのだが、今年で年齢制限に引っ掛かってしまったということだった。


「この周辺の地域では、まだARゲームは浸透してなくてさ。新宮くんとコンビないしチーム組んでくれる人がいなくて困っていたんだ――あ、もちろん純粋に同好の士が増えることは嬉しいよ?」


「わかってますよ。それで今回、市営体育館行く理由ってのが――」


「まぁ、あまり浸透していないっていっても、同じ同好の士がいないわけじゃない。そういう人たちと何人か集まって月に二回、市営体育館の一部を借りて一緒に遊べるようにしてるんだよ。普段は校庭を使わせてもらっているけど、正直地面じゃなくて、本当は床でやるスポーツだからね」


 そんなことを話しているうちに、市営体育館が見えてきた。

 石杖市の市営体育館は、比較的新しく大きな体育館だ。

 中には、市営のジムも併設されており、比較的安く誰でも利用できる。

 距離的には、自転車でも来られる距離だったが、今回は初回ということもあり金城の好意に甘える形で車に同乗させて貰った。

 乗ってきた軽自動車を屋外駐車場に入れ、三人は降りて体育館の中へ向かう。


「そういえば、この【NEW WORLD】ってどれだけ普及してるんですか?」


 一心の素朴な疑問に、金城はうーんと呻ってこう答える。


「海外――フランスとかではかなり普及しているよ。日本だとまだまだ感じはするけど」


 そこで一旦区切った金城の言葉の続きを新宮が紡ぐ。


「国内でも最近は【U18】の大会とかも行われるようになったから、これから盛んになっていくんじゃないかと期待はしているわ」


 さらっと重大そうなことを言った新宮に、一心が食いつく。


「え、国内大会あるのか、甲子園的な?」


「詳しくはまだわからないけれど、公式から今年国内で【U18】の大会を行う旨がアナウンスされているわ」


 そういう新宮の言葉に一心は少し驚くが、すぐさまそれは闘争心に変換される。


「なら、それの練習も兼ねて、今日の奴は頑張らないとな」


 本日この場所で行うのは、【U18】限定ミッション。

 ペア限定で行う【エネミーハント】だ。


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