第1章 すべてのはじまり
今から約5年ほど前。
世界は混沌と恐怖に包まれた。
奴等は突然現れその狂暴さと、圧倒的な強さで人間達を虐殺していった。そいつらは、魔族と呼ばれた。
ところが、人間は魔族に対抗するために魔力を発見した。
それからは、魔族の一方的な大量虐殺もだんだんと減っていった。それでも年に魔族に殺される人達は三万人を越えている。
「はい、今日はここで終わりにします。じゃあ学級委員長の青山くん、あいさつを。」
「起立」
ガタガタガタガタ
「姿勢、礼」
「「ありがとうございました」」
「さっき凄く眠そうだったわね。」
隣の席の沢田さんだ。黒髪のボブカットで美人な彼女はその見た目からは意外な、剣道をやっているバリバリのスポーツ少女だ。
「うん。昨日勉強してて寝たのおそくてさ、」
「そろそろ中間テストだからなのはわかるけど、ちゃんと寝ないさいよ、授業が集中できなきゃ本末転倒なんだから。」
「そうだね。今日から気を付けるよ。」
なんでこんなに僕は説教されないといけないんだろう。そもそもあまり仲良くもないのに。
「貴方今日どこで昼食とるの?」
「どこにしようかなぁー」
「なら私と食べましょうよ」
「え?」
「どうせ一緒に食べるようなやつもいないでしょ」
うるさいやい。友達くらいいるわ。
「失礼な、まあ別にいいけど」
「なら行きましょ」
面倒だなぁ....まあいいか、どうせ一人で食べてもさみしいし。
それにしても普段あんまりしゃべってこないのにどうして僕を誘ったんだろう?もしかして僕のこと好きだったとか?くひひっ
そうこうしているうちについたみたいだ。
「屋上か、いつも屋上でたべてるの?」
「いつもじゃないわ、今日はたまたまそんな気分だっただけ。」
「ふーん」
そういいながらお弁当箱の蓋をあけた。うげっ僕の嫌いなブロッコリーが入ってる。ちくしょうめ、相変わらず性格の悪い母を持ってしまった。
「貴方は将来の夢ってあるの?」
「夢?別にないけど....」
そう言うと、沢田さんが凄く聞いてほしそうなかおをしてこちらをむいてるくので、僕は仕方なく質問した。
「沢田さんはどうなの?」
「魔物抹殺官になることよ。私は魔族をこの世から一体残らず抹殺する、それが私の夢。」
「へぇ~そうなんだ。頑張ってね。」
「凄くどうでも良さそうね。」
「君が聞けって顔してたから仕方なく聞いてあげたんだ、感謝してくれ。」
「貴方が友達少ない理由が分かった気がするわ。」
「そう?照れるなぁ~えへへ。」
「何がえへへよ、褒めてないわ。」
「君は辛辣だなー」
僕はこのときまさかあんな未来が待ち構えているなんて考えてもいなかった。