第940話白と青のグラデーション5
時はラグアとミグ以外がそれぞれ戦いを邪魔しない為、転移した直後まで遡る。
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リーゼは自陣に集めたありったけの戦力…
そして、敵陣からこちらを睨む敵の主力を見据える。
「さあ、ご来場のみんなー。本日は真の支配者の生誕祭…。まあなるのはパパに決まってるんだけど、生誕祭の宴にようこそ」
「リーゼ…」
リーゼの人を食ったような態度にジオは歯噛みする…
アゼルメーテ以外のメンバーはリーゼ一人に完封された苦い思い出はまだ記憶に新しい。
「と言ってもこの宴の主人公はアゼルメーテ?お前だけなんだけどね?……ちっ…まあいいや。総員アゼルメーテを殺れ」
前後の文面に空いた不自然な間と舌打ち…
それはリーゼとラグアの神通と共鳴の概念がミグによってぶった切られた為のものだ。
「ずいぶんとナメられたものだな?妾達もいることを忘れてもらっては困る」
ミュラ達もアゼルメーテを援護するように動き出す。
「ふふふっ、ナメられたもの?ぶっちゃけアゼルメーテ以外はナメてるよ?まだわかってないみたいだね?お前らの相手はこれで十分だよ?」
そう笑ったリーゼの言葉が終わらないうちに分体リーゼ…そしてその取り巻きである媒介クローンに地雷クローン…
さらにはゴッズクローンまでが大量召喚される。
「いけっ!!名もなきゴッズクローン達よ。ゴミ共を一人残らずパパに捧げる供物にしろ。全宇宙をとった暁にはお前らは新時代を作った英雄の一人として語り継がれるだろう。このリーゼ・エルライド・イグロシアルがお前らに名前と相応のポストを与えることを約束しようっ!!」
分体リーゼは高らかにそう宣言する。
ゴッズクローン達の士気は高まる。
「…意識の共有は切ってるとはいえ、勝手なことを言う分体だなー。リーゼって客観的に見るとこんな風に映るんだー?まあ、そのぐらい想定の範囲内だから別にいいんだけどさー?いくよ、みんなっ!!さっさとアゼルメーテを殺ってパパに合流するよ?遅刻とかそーいうのやってないよ?」
ミュラ達の相手を完全に分体に丸投げした本体リーゼもそう味方を鼓舞する。
イグロシアルの主力メンバーの士気も高まる。
こうして、ラグアとミグの激戦の裏でもう一つの戦いが幕をあけようとしていた。




