第939話白と青のグラデーション4
「まだまだーっ!!」
それは俺がミグの反撃を躱した直後のことだった。
ミグの神格エネルギーが跳ね上がる…
権能の概念の連続使用で神格エネルギーに変換…
しかも反撃を躱した直後の俺がもっとも油断しているであろう時のいきなりの追撃ブースト…
「!?っ、覚醒っ!!真覚っ!!」
いきなり力を抑えた状態の今の俺と同等まで跳ねあがったミグの神格エネルギー…
なんとか紙一重で躱すことに成功した。
これは読心からわかることだが、コイツの攻撃は基本当たってはマズイ。
何故なら読心にはインパクトの瞬間に権能の概念で無限転生が自動発動する事実が映し出されているからだ。
不滅の領域纏いが無限転生を食らってもすぐに破られるとは考えにくいが、ミグはたぶん権能のブーストでさらに効果を上げてくる。
そうなればさすがに俺も権能を切らずに防ぐのは不可能だ。
最終局面でお互い持てる手札を全部切り合った上で俺が優勢ならやるのもありだが、こんな初期にはやりたくない。
ここで初期の目的をはっきりさせよう。
俺の権能は極力使わないようにしながら、ミグにできるだけ権能を使わせる。
まあこちらは今のところ順調と言えるだろう。
そして、もう一つ…
最後の殴り合いの前に無限転生を使用不能にさせる。
こっちはできればでいいし、最悪俺の権能で食らってからでもなんとかなるが、できればやりたい。
俺は真覚の発動をやめる。
真覚はインターバルを置かないで使うとだんだんと効力が落ちる。
真覚を解除した現在のステータスはミグと俺に大差はない。
このままでは互角の戦いだが、ミグに触れることを嫌う俺の攻撃手段は限られるから俺が不利だろう。
なら…
俺は力の解放をさらに引き上げる…
核玉の数値だと2万クラス…
これにより真覚を解除する前とステータスは変わらない。
「くくくっ、第二ラウンドだ。焦るんじゃねーよ?どっちが勝ってもお前と殺り合えるのはこれで最後なんだからよ?」
俺のその言葉にミグはニヤリと笑みを浮かべる。
「キャハッ!!たしかにそうだねー?でもさー?ラグア、お前頑なに権能を使わないねー?何か理由があるのかなー?」
バレたか?
いや、むしろミグの今の発言は権能を温存している理由をわかってないととるべきか?
「まあいいや。こんなに楽しい殺し合いで余計なことを考えたくないし…。ねえ?ラグアぁぁぁ!!」
うん。
相変わらずバカだった。
こうして俺とミグの戦いの第二幕がはじまった。




