第938話白と青のグラデーション3
「キャハハハハっ!!」
俺の挑発にミグは笑い出す。
そしてひとしきり笑ったところで口を開く。
「…バカにしてるのはお前の方だよ。ラグア?昔のあたしなら挑発にのって勝負を急いだかも知れない。でもラグア?あたしだって成長するんだよ?」
挑発にはのってこないか…
まあ別にいいか。
今の俺には特に戦いを急ぐ理由がない。
俺がこうしてミグと戦っている間にも、俺の陣営とアゼルメーテを筆頭にしたミグの陣営が戦ったいる訳だが、そっちはリーゼに任せておいて問題ないはずだ。
俺の目から見てもリーゼは強い。
俺を除いた俺の陣営の中では最強…
それこそ、エリスやエリローズをも凌ぐ…
リーゼは立場を利用して好き勝手やってた時期も…いや、それは今でも変わらないか。
だが、アイツは天才ともいえる思考能力を駆使して、最終的に実力と実績で俺すらも黙らせた。
本当に自分の娘かどうか不安になるレベルだが、それと同時に信用も信頼もしている。
アイツが大丈夫と言い切ったなら俺はそれを信じて動く。
つまり最低でもアゼルメーテがここに来ることはない。
俺はミグの相手に集中できるし、ラピロアがいる以上ルービスメゾルの乱入もそこまで警戒しなくていいから、勝負を焦る必要は一切ない。
まあ、ミグの方も勝負を焦るつもりはないから、持久戦になるだろうが、いつまでその余裕が持つかな?
俺は内心でほくそ笑むと千手観音モードを展開する。
「ほう?なら…俺の方からいくぞ?」
言いながら俺はミグに対して攻撃を仕掛ける…
千手観音モードを展開はしているが、こんなもんは完全にブラフだ。
千手観音モードはミグの無限転生に対して相性が悪すぎる…
本命は…
「領域纏い、概念、不滅。神帝の絶対領域」
ミグの無限転生に対して完封できるのは他にもあるが、これがもっとも効率がいい。
「!?っ、覚醒っ!!」
直感だろうか?間一髪で俺の動きを予測したミグはギリギリで絶対領域の効果範囲外に逃げる。
甘えよ。
こっちはまだ覚醒を温存しているんだぜ?
緩急…単純なことだが、いきなりスピードが跳ねあがった俺の動きにさすがのミグもついてこれずに、神帝の絶対領域の範囲内に入ってしまう。
だが…
俺の神帝の絶対領域はその瞬間、音を立てて砕け散る。
もちろん原因は…
「…マジでふざけたチートだわ…権能の概念ってのは…」
俺は覚醒で強化されたミグの反撃の一撃をなんなく躱しながらそう呟いたのだった。




