第936話白と青のグラデーション
それから数日後…
〜
俺は玉座の間に集まった戦力を見渡す…
イグロシアル最高戦力…
準最高戦力…
そしてここにはいないが、リーゼと姉ちゃんが今日の為に用意したありったけの媒介クローンや地雷クローン…
さらにはゴッズクローンもいつでも出撃可能な状態だ。
俺の拠点を含めた支配下にある11の宇宙は現在ラピロアの権能の概念に守られているが、ラピロアにはルービスメゾルの相手という最大の役割があるので、俺はこの11の宇宙に森羅万象をかける。
そしてその時が開戦の合図だ。
神の千里眼にはミグ達の様子も見える。
向こうも森羅万象に近い技をかけるつもりなのだろう。
さらに向こうも神の千里眼でこちらの様子を伺っているのか、戦力を結集させて待機している。
つまりは迎え討つってことだ。
権能持ち同士の戦いははじめての経験だ。
しかも相手は幾度となく殺しても俺に喰らい付いてきたアルムスからの宿敵ミグ・ヒピー…
いや、これ以上言うのはやめよう。
アイツとははじめてあった時から今に至るまでずっと敵同士だが、ライバルだのなんだの安っぽい言葉で片付けられる関係なんかじゃない。
俺はアイツ程狂ってるわけではないが、お互いがお互いを殺すことをこれほど夢見た相手が他にいただろうか…
俺は神の千里眼を解除する。
「最後の戦いだ。長々しゃべるつもりもねえ…。俺の命令は一つ…」
俺はそこで一度言葉を切る。
俺の命令はもちろんそう。
もっともシンプル…
そしてもっとも俺らしいとも言える命令…
「殺れ」
それだけだ。
それぞれが思い想いの返事をするが、全ては肯定…
そう。
コイツらは俺の理想郷に必要不可欠な仲間達だ。
創り出す…
コイツらと共に無数の屍の上に築く理想郷を…
俺はその覚悟を胸に森羅万象を発動する。
〜
俺達は転移する。
若干奇襲を警戒していたが、そんな心配は必要なかった。
それはヤツなりの矜持かどちらかが倒れるであろう最後に、言葉を交わしたかった為かはわからないが…
「ラグアぁぁぁ!!リーゼぇぇぇ!!よぉく来たねぇぇぇぇ!!」
先日の休戦からまださほど時間は経ってはいない。
俺は答える。
「くくくっ、熱烈な歓迎みてえだな?お前と話すのもおそらく今回が最後…なんか言い残すことはあるか?」
「言い残すこと?ラグアぁぁぁ!!それはこっちのセリフだよぉぉぉ!!まだあれから数日しか経ってないのか…不思議だね…あたしさ…怖くもないのに震えるんだ?なんでかわかる?お前に会いた過ぎて…この手でお前をズタズタに引き裂く日を夢見てさぁぁぁ!?」
「いや、どんなトチ狂った西野◯ナだよっ!!」
俺は思わず…どんなにシリアスな展開とはいえ、さすがに突っ込まずにはいられなかった。
「思えばお前を追いかければ追いかける程…お前を想う程遠く感じた…でも…あたしはやっとここまできた…今日という記念日があたしの命日になるかそれともお前の命日になるか…」
「てめえ…狙って言ってんのか…?なら俺も合わせてやらあっ!!俺の描く未来にてめえはいねえっ!!おいお前ら…さっき言った通りだ。もう一度言う。殺れ!!」
「キャハハハっ!!アゼルメーテっ!!みんなっ!!派手に暴れるよっ!!」
何故か某女性アーティストの歌詞を羅列することになったが、俺とミグの最終決戦はついに幕を開けるのだった。




