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第929話再戦の眠鬼9


鬼怒達の戦闘が膠着しているのと同時刻…


セリーと鬼情の戦闘もまた膠着していた。


「…白天の犬…中級魔神ごときが…いや…ただの中級魔神ではないな。余に神界転移まで使わせるとは…」


「くくくっ、私がラグア様の犬か。煽られてるのはわかっているが、不思議と悪い気はしないな。今後ともそう呼ぶがよい。まあ貴様に次の機会があればの話だがな?」


対するセリーは猛攻により、鬼情に神界転移の発動を余儀なくさせている。


「貴様…プライドはないのか?」


高圧的な話し方…

経験上本来プライドの塊のようなタイプなのだろう。

普通ならこんなことを言えば憤慨する。


「鬼情だったか?挫折を繰り返せば考えなどいくらでも変わる。私は気づいたのだ。無駄なプライドなど高みにたどり着く為には障害でしかない。まあ私がその答えに気づいたのは、何人もの新参者に追い抜かれ、かつての同期にも差をつけられた後であるがな?」


言いながらセリーは自重気味に笑った。


ラグア様…エリス様…

そしてライナー様…いや、心中だからライナーでいいか。

私がラグア様にお仕えした当初、ラグア様の側近はこのメンバーからはじまった。


私は慢心…いや、努力研鑽を怠った覚えはない。

だが、それでも新参…幾多の才ある後からきた方々に追い抜かれ…同じように追い抜かれていたはずのかつての同期であり、ライバルでもあったライナーには覆しようもない差をつけられた。


ラグア様はお優しい。

本当に…

今では役立たずと成り果てた私に、大切な仲間であり家族だと言ってくれたのはいつだっただろうか…


セリーは深く深呼吸をする。


才能の壁は私の前に大きく立ちはだかった。

私では到底その先には辿り着けない…

そして、お優しいラグア様は今でも私を大切な仲間だと思ってくれているようだが、私はそんな役立たずな自分自信に価値など見いだせない。


だが、ウリン様のおかげで私にも一筋の光明が見えた。

プライドなどクソ喰らえだ。

先のないこの人魔の肉体も必要ない。

私が必要なのは…


「私に必要なのはラグア様の手となり足となるだけの力…。犬?上等だ。私はラグア様の忠実なる番犬である。主の前に立ちはだかる者は全て噛み殺す。それこそが私の存在意義なり!!」


番犬…いや狂犬と言った方がいいほどに瞳に狂気の色を浮かべながらセリーは言った。

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