第924話再戦の眠鬼4
〜オルメテウス拠点宇宙、神界〜
それはリーゼ達が転移した瞬間に起きた。
ガキンッ!!
甲高い音が響く。
「…な…なんで!?」
転移してきたリーゼ達に合わせて、ゴッズクローンの一体に奇襲攻撃を仕掛けたティナの拳はリーゼによって受け止められていた。
「なんでかって?あのねー、バカにもわかりやすーく説明するとね?奇襲ってのは読まれてないから成立するのであって、わかっていたら対処するのは簡単だし、逆に足元をすくわれるんだよ。ほら?こういう風に…」
その瞬間リーゼの吸命の領域発生が発動する。
「ぐっ…」
ティナはすぐさま後退するが、失った神格エネルギーは少なくない。
〜
いきなり初手からしくじった…
アイツ…リーゼとか言ったか?
ヤツは噂通り…いやそれ以上に頭が切れる。
ヤツの次の手は…
それはティナが後退しながらそんな事を考えていた矢先に起きた。
「バーカ」
リーゼのあからさまに相手を小馬鹿にする声と同時にティナは上下真っ二つに引き裂かれるのだった。
〜
黄泉の神によってティナはすぐさま復活する。
だが…
「!?っ、領域覚醒っ!!領域循環っ!!」
まるで黄泉の神による復活が完全に読まれていたかのようにリーゼの追撃の神格エネルギーを込めた概念の嵐がティナを襲う…
なんとか領域覚醒と領域循環だけは発動させたが、それでどうにかなる問題ではない。
リーゼの大量の神格エネルギーがこもった概念の塊は一発でも擦ればティナにとっては致命傷になる。
こんな…
まだ何もしてないのに…
こんなの嘘だよ…
リーゼの概念の嵐がティナに触れるその寸前…
パチンッ
それはリーゼが指を鳴らした音だった。
その瞬間にリーゼの概念の嵐ははじめからそこに存在しなかったかのように消え失せてしまった。
まあ、もっとも概念の宿主であるリーゼの元に還っただけなのだが…
そしてリーゼがそんな事をした理由…
それは…
「ふふふっ、さすがに邪魔してくるよねー?オルメテウス」
余裕の笑いを浮かべながらリーゼは言った。
そう。
リーゼの未来予知には見えたのだ。
恐ろしい速度で割り込んでくるオルメテウスの姿が…
「ごめん…オルメス…」
「ティナ。所詮はオリジンゴッドとナメてかかるな。信じられないがヤツは下手なアラウザルゴッドより遥かに上だ」
オルメテウスのその言葉にティナはいつものふざけた調子ではなく、真剣な表情で頷く。
何故ならたった今奇襲が失敗した上、逆に開始早々に畳み掛けられそうになったからだ。




