第921話再戦の眠鬼
その後、俺はラピロアから権能の概念の強化方法について詳しい説明を受ける。
その方法はルービスメゾルがしているように宙喰による強化だ。
とは言っても初代神帝であるルービスメゾルよりは宙喰によって強化される権能の概念の効率は悪い。
手数の問題で今は拮抗しているが、差が縮まっていないのが現状だ。
まあこの状況を打破するのがリーゼの策だから、ここまでは順調と言ってもいいが。
〜
ラグアが権能の概念を手に入れてから数日後…
〜かつてコレートルとの戦いの時に待機場所に使った空っぽの宇宙〜
「さあみんな。初仕事の人も久々の仕事の人もいるだろうけど、役目はもちろんわかってるよね?」
コレートルとの戦いから今までずっとそのままにされていた玉座…
そこにリーゼは深く腰掛けると跪く7人の面々…否、7柱の神々に向かってそう言った。
「はっ、もちろんにございます。この度はリーゼ様の取り計らいにより、私にも再び活躍の機会を与えてくださったことに感謝すると共にご期待に見合うだけの…」
「硬いよセリー?もしかして緊張してる?」
「………申し訳ございません。恥ずかしながら少し…」
セリーのその態度に心を読むまでもなくわかったリーゼはフッと笑うと玉座から立ち上がる。
いや、床すらもない宇宙空間だから空中に立ったという表現が正しいか。
リーゼはそのまま空中を歩き跪くセリーまで歩を進める。
いかにセリーの体格が小柄だとは言え、リーゼの見た目は幼女と言える姿だ。
跪いた姿勢のセリーとリーゼの身長は大して変わらない。
リーゼはそんなセリーの頭を優しく撫でる。
「大丈夫だよ。セリー。リーゼは知ってるよ?お前が誰よりも頑張り屋でパパへの忠誠心は最高幹部の中じゃ1番だってことも…。大丈夫だよ。全部うまくいってお前は昔のお前…頼りになるパパの腹心に戻れるよ」
「ありがとうございます!!リーゼ様!!このご恩は一生…」
そこまで言いかけたセリーをリーゼはセリーの頭を撫でていない方の手のひらを広げることで制す。
「ストーップ。失敗なんかありえないけど、続きはオルメテウスを始末してから聞くよ。ギース、マリア、今回は直接の戦闘はないし出番はないと思うけど、万が一…いや…兆が一もありえないか…ありえないことにありえないことと、さらにありえないことが重なった計算するのもバカバカしくなるような確率の為に一応ここで控えていてよ。その場合の指示は一応頭に入ってるよね?」
リーゼはそう言って跪いているゴッズクローンではない自分の腹心二人にそう言ったのだった。




