第916話群雄割拠の新時代16
「お前…いや、当代の神帝ラピロアよ。お前はこの世についてどう思う?」
憎悪の眼差しを向けるラピロアに対し、ルービスメゾルはそう問う。
「………終わらない生命のせめてもの退屈しのぎ…」
「余には責任がある。この世を生み出したものとしての…そして…」
「ボクに質問しといて聞く気ないよね?本当に昔から自分勝手だよね?」
ラピロアはそう言ってルービスメゾルの話の腰を折るが、ルービスメゾルは特に気にした様子もなく続ける。
「まだ余が最初の神帝として君臨していた時代…余は気づいた。終わりなき生命をただ全宇宙を支配し続けることに何の意味がある?ラピロア。頂点に最も長く君臨した神帝よ。その先に何があった?」
「…何もありはしない。頂からは何も見えない…遥か下界に気配はしても一向に誰1人として登ってこない…」
「そうだ。それが所詮は余が作り出したこの世の姿だ。失敗だった。そもそもこんな世など作るべきではなかった。そう。この世は余の死をもって崩壊の道を辿るはずだった。それが余の最後の責任だからだ」
「…自分勝手に作ったこの世が退屈過ぎて勝手に絶望して終わらせようとして、子供達に押しつけて自分は死に絶えても尚、都合が悪くなったら介入する。パパ…ボクはあんたが大嫌いだよ」
「お前が不滅の概念を手にいれたのだけは、さすがの余も予想出来なかった。それさえ無ければサフィアが最後の神帝となり、長い時に蝕まれて自我の崩壊とともにサフィアはいずれ自らこの世を…」
「ふざけんなクソ親父っ!!それで最悪、不慮の事態には復活して自分で滅ぼして気持ちよく逝けるように魂にあんなふざけた仕掛けをしやがって!!」
結局ラピロアはそう声を荒げた。
「…安心しろ。復活こそしたがあれは一度きりだ。権能の概念を使えば魂を砕かれても復活できるが、もう一度それをするつもりはない。次に余を殺せばそれで終わりだ」
ルービスメゾルは達観した様子でそう言った。
「…よくわかったよ。パ…クソ親父…お前の勝手なエゴなんか絶対に許さない。お前は目的を果たせないまま後悔しながら死ぬんだ。何故なら神帝であるボクの逆鱗に触れたからね」
「くくっ、どうやら言葉と行動があっていないようだ。気づかないとでも思ったか?今のお前の力なら余の生命を奪う程度は造作もないことだ。にも関わらず余を足止めするだけで、殺しにはかからない。つまりお前の目的にはまだ余は殺せない存在だと言うことだ」
ルービスメゾルは余裕の表情を浮かべるとそう言ったのだった。




