第915話群雄割拠の新時代15
初動…
それは本当に突然はじまった。
バチバチバチバチッ!!
ラピロアの権能の概念とルービスメゾルの権能の概念が互いにぶつかり合う。
「互角かー。パパも多少は力が戻ってるみたいだね?」
「まさかお前にそんなセリフを言われる日が来ようとはな?」
ラピロアの挑発…
いや、どちらかと言うと素で言ったその言葉にルービスメゾルはそう返した。
ラピロアの第六形態…
それはあらゆる制限を解除した素のラピロアの全力状態だった。
第五形態で108つにわかれた魂は既に融合している。
だが、これ以上の力を使おうとすれば権能の概念は大なり小なりの暴走をはじめる。
その暴走を完全に抑え込むのにラピロアは何をしたのか…
それは他でもない権能の概念だ。
その矛盾した力こそが第六形態の力だった。
「…本当に強くなったな…神帝化をを使わないどころか全力も出さずにここまでとは…」
「ははは、さすがパパだ。第七形態と第八形態の説明もしてくれるんだね?そうだよ。権能の意思を抑え込むのをやめた第七形態…。そして神帝化…神帝の因子の力を完全解放して、権能の概念の意思とボクの意思が混ざり合う。それこそが第八形態であり、正真正銘のボクの全力だ。パパは神帝化を使っているようだけど、ボクにとってこんな力は何の意味もない。自殺の概念でもあれば話は別だけど?」
神帝化を発動すれば全ての概念に権能の補助が加算される。
例えば意思を持った概念が、自身の宿主が死を望んでいたらどうするか?
不滅の概念を持っている宿主が自殺するのは絶対に不可能だ。
にも関わらず宿主は死を望む。
宿主の生命を脅かす可能性のある者を全て排除する。
それが神帝化したラピロアが下す選択だ。
「権能の概念は不滅を持っていないかつ、自ら死を望んでいなければだいぶ融通はきくし、暴走なんかほとんどない。概念の所有者本人すら気づかないレベルだ。だけど第七形態が粉砕された時、ボクははじめてこの力の忌々しさに気づいた………この手でサフィアを殺してね…」
ラピロアは遠い目をしながら言った。
本人が死を望んでいる限り、不滅持ちの権能の概念の暴走は止まらない。
「そうか…だがお前もわかっているはずだ。この程度では我に勝てないことが」
「………本当に腹が立つよ。サフィアの件をそうかの一言で片付けるパパが心の底から…」
そうラピロアは静かに…だが、隠そうともしない怒りをあらわにルービスメゾルを睨みつけるのだった。




