第914話群雄割拠の新時代14
時は少し遡る。
ルービスメゾルの左腕、ウドラハークは全宇宙最強の神帝…ラピロアを足止めをする為、ラピロアがいる地点まで来ていた。
「若様…」
ウドラハークは目の前にいる少年…当代の神帝にして、全宇宙の頂点…ラピロアに向けて呟いた。
「久しいね、ウドラハーク。でもメドーとギッシュトートを置いてきたみたいだけどよかったの?はっきり言って今のラグアは強いよ?」
「…もはやこうするほかありません。こちらとしては若様に神界の戦いに参戦されるのが、もっとも困るので…」
ウドラハークはそこで一度言葉を切る。
その瞬間、強大な力を持った二つの存在が転移してくる。
バチバチバチバチッ!!
とてつもない轟音…
それはいくら全力展開にはほど遠いとはいえ、神帝ラピロアの権能を破壊した音だった。
もちろんラピロアの権能はすぐに再生するが、そんなことができる時点でラピロアが全力を出さない限り、いつでも逃げられる可能性があるのは証明された。
そしてそんなことができる可能性がある存在は、今、全宇宙にたった一人しか存在しない…
「パパ…気の遠くなるような時間が流れてもパパの姿は昔のままだね。この間話したばかりだけど姿を見るのは本当に久しぶりだよ」
ラピロアは言った。
虹色の瞳…
紅のグラデーションが鮮やかに輝く髪…
そしてラピロアと親子だということを証明するかのように、その顔立ちにはラピロアの面影を残している…
「…逆にお前は姿以外は変わったな…何もかも…」
その存在…ルービスメゾルは虹色の瞳でラピロアを見据えると言った。
「そりゃ変わるさ?どれだけの時間がたったと思ってるのさ?」
対するラピロアはこの間の様に取り乱したりはせずに、いつもと変わらない軽い調子でそう言った。
そして…
ラピロアの雰囲気が変わる…
ただ神格エネルギーが増えただけではない。
これは…
「来なよ?ボクとパパの確執はもはや話し合いによる解決なんか望めない。そんな期間はとうの昔に過ぎ去った」
いきなり第六形態を解放したラピロアは言った。
その異様とも言える雰囲気は神格エネルギーだけでは決して超えられない壁を表しているかの様だった。
「陛下、補助は我らにお任せ下さい。ウドラハーク、合わせるぞ?」
もう一人の転移してきた存在…
今まで無言を貫いていたチェルシーは言った。
こうして、新旧神帝同士の事実上の全宇宙頂上決戦が幕を開けようとしていた…




