第911話群雄割拠の新時代11
ミグとアゼルメーテがそれ以上は声に出さずに神通でやりとりをしているのがわかる。
もっとも感情が読めるリーゼには筒抜けなのだが…
そして…
「決まったみたいだね?まあ、ミグもそんなに気にすることでもないよ?何もリーゼはお前に仲間になろうって言ってるわけじゃないんだからさ?」
「…誰がお前なんかと…お前だけはあたしが必ず殺す…」
感情の起伏からアゼルメーテに押し切られた形でこちらの提案…
プリミティブゴッドの等分を呑んだことを悟ったリーゼはそう言ったが、その言い方が気に入らなかったミグは怨念のこもった瞳でリーゼをギロリと睨みつけるとそう言った。
「ふふふっ、ずいぶんと嫌われたねー?ウチのミグとは仲良くやってるんだけどなー?」
「…あんな気持ち悪いあたしをあたしの名前で呼ぶな…」
静かに…だが、怒気を込めてミグは言った。
〜
さあ舞台は整った。
リーゼは内心でほくそ笑む。
もっともこの考えは多重思考の一つに過ぎない為、パパにすら悟られていないが…
ミーラル…そしてエリス…
パパとミグのあとに目覚めたアラウザルゴッドはこの二体だけだ。
アラウザルゴッドになれる条件はわからない。
どれだけ神格エネルギーをかき集めてもなれない存在の方が多い。
たぶんリーゼもその一人だろう。
だが神格エネルギーをかき集めてもなれないなら、別の方法でなる…もしくはそれに準ずる力を手に入れてしまえばいい。
パパにすら読ませなかった先の先に見えた光明…
それはいずれミグとアゼルメーテのうちの権能の概念を手に入れられなかった方とルービスメゾルの体の一部から生まれた特別なプリミティブゴッドをリーゼ自身の手で打ち倒し、オリジンゴッドのまま権能の概念を掻っ攫うか、まあどちらかを打ち倒せば反動でアラウザルゴッドになるかもしれないが…
特別なプリミティブは一体はパパ。
もう一体はお前らにくれてやる。
けど、チェルシーとか言うヤツは無理だとしてももう一体はリーゼがもらう。
計画の最終段階…事実上の最終決戦であるラピロアとの戦いをパパだけで打ち勝つのは難しい。
なんとしてもそれまでに間に合わせる。
アゼルメーテこれは布石だよ?
お前は後悔することになる。
まあ、もっともその頃にはお前はパパかリーゼに殺されてもうこの世にはいないか?
リーゼは誰にも読まれない思考の奥底でそんな事を思うのだった。




