第906話群雄割拠の新時代6
時は少し遡る。
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俺はラピロアと別れ、リーゼと共に宇宙内をとてつもないスピードで移動する。
目指すは当然、あの凶悪な神格エネルギーが三体固まっているあそこである。
「パパ。連中も別れたよ」
「ああ、どっちに行くべきか…」
凶悪な神格エネルギーの中でも、一際強大な神格エネルギーを持つ一体が単独行動。
残る二体とは別々に動き出したのだ。
ちなみにリーゼは共鳴の概念で俺と感覚を共有しているから、格上であるプリミティブ共の神格エネルギーもしっかり感じとれる。
「でかい方は一直線にラピロア狙い…敵の主力の合流はまだみたいだけど、狙いは時間稼ぎだね。そんでもって神界に行った方はパパを返り討ちにするのが狙いか。自分から攻めてこないで今出せる最高の戦力で待ち構えるってのはそれなりにマシな策だね」
「ほう?」
俺はリーゼの言葉にそう相槌を打った。
言い方はともかくリーゼの目から見ても向こうもバカではないのだろう。
「でも甘いよ。神格エネルギー、策略ともに期待以上だけど想定外じゃない。断言するよ。連中は負けるよ。パパとリーゼのコンビになす術もなく」
言いながらリーゼは口元に笑みを浮かべた。
「すげー自信だな?」
俺もリーゼに笑みを浮かべて返した。
ここまで自信たっぷりなリーゼがしくじったことは今までに一度もない。
「当たり前だよ。ミグとの戦いでリーゼは今まで神格エネルギーの差でどうしてもできなかった戦術が可能になった。見せてあげるよ?完成したリーゼとパパのペアは完全無欠だってことを…」
リーゼのオッドアイの瞳がギラリと輝く…
共鳴の概念のおかげでリーゼの考えていることは俺にも伝わってくる。
もちろんリーゼが何をやろうとしているのかも…
「そうだな。ゴミ共に俺達の…」
「パパの力とリーゼの頭脳が合わさったらどうなるか…」
「そして俺達を敵に回したらどうなるか…」
「リーゼとパパを敵に回したらどうなるか…」
「地獄の底で思い知らせてやるよ(あげるよ)!!」
共鳴の概念で完全にお互いの思考を共有した俺とリーゼは言い放った。
数万年にわたり邪智暴虐の限りを尽くしてきた最凶最悪の父娘と原始より君臨せし太古の神帝の手足との戦いが今はじまろうとしていた。




