第905話群雄割拠の新時代5
その頃…
「これは!?」
その存在…ルービスメゾルの左足…
メドーという名の存在はこの宇宙に転移した瞬間に起きた状況に困惑した。
「この波動は若様か…つまりはハメられたか…」
そんなメドーに対し、ルービスメゾルの右足…ギッシュトートも渋い顔をする。
だがそんな2人とは対称的に、この宇宙に転移してきた最後の存在…
ルービスメゾルの左腕…ウドラハークと呼ばれる存在だけは落ち着いていた。
「メドー、ギッシュトート。そう焦るな。たしかに若様のお力のおかげで我らはこの宇宙から出ることも叶わぬ。だが、向こうがここで若様という最大の手札を切ってきたいうことは逆についているとも言える」
ウドラハークのその言葉にメドーとギッシュトートもようやく気づく。
いかに若様…ラピロアと言えども自分達、特別なプリミティブゴッド三体とチェルシーを相手に神帝の因子を受け継いだ存在を守り抜くことは…いや、そこまでは若様ならできるだろう。
だが、ここに陛下までもが加わればどうなるか?
だが…
「ウドラハーク。若様を過小評価するな。いまや若様はお力だけなら全盛期の陛下すら遥かに凌ぐ…そのことはわかっているだろう?」
メドーはウドラハークにそう食い下がる。
「たしかに陛下はまだ完全ではない。若様が全力を出されればチェルシーや我ら…さらには陛下が束になってかかっても到底勝負にすらならん。だがもし…若様が全力を出したらどうなると思う?」
メドーとギッシュトートは目を見開く。
ようやくウドラハークの言葉の意味がわかったのだ。
若様…ラピロアは全力…いや、陛下を殺すまでの力は出せない。
そこまで力を解放すれば当然、その宇宙内にいる存在は全てただではすまない。
若様がもし自らの手で自分達を始末するつもりなら自分達は既にこの世にはいない。
そうならない。
つまりは自分達に直接手をかける役目を担うのは若様の協力者なのだろう。
「出せんよ。若様は…全力どころかある程度までしか力を解放できん。そうしてその制限された若様に勝つのは不可能でも抑えるだけなら、陛下とチェルシー…さらには儂がおれば十分に可能だ」
「ならすぐに神通を…通じないか…」
ギッシュトートはルービスメゾルに神通で連絡を試みるが、ラピロアの権能に遮断されて繋がらない。
「陛下もチェルシーもすぐに異変に気づく。メドー、ギッシュトート。お前達は神界に行け。儂は陛下やチェルシーがきた時の座標になるべく若様の元へ向かう」
そう言ってウドラハークはラピロアの元へと向かう。
「ウドラハークは陽動…つまりは若様の協力者を消すのが我らの役目か…」
「なめられたものだ。おそらくは殿下ではあらせられるのだろうが俺達を二人同時に相手しようなど…」
言いながらメドー、ギッシュトートの両名も神界へと向かうのだった。




