第902話群雄割拠の新時代2
〜惑星国家イグロシアル、主星イグロシアル、玉座の間〜
「ミーラルが俺のとこに来たい?」
俺はエリスのその言葉にそう聞き返した。
「はっ、しかし今すぐではなく、ラピロア様亡きあとのことです」
俺の前に恭しく跪いたエリスはそう答えた。
「まあそれは今は保留だな。リーゼ、各地の戦況は?」
俺はエリスの話を一旦保留にしてリーゼに話を振った。
「当たり前だけど戦勝報告しかあがってないよ。まあパパ本人とラピロアを温存し続けてるから、ルービスメゾル側や他のアラウザルゴッド勢力も迂闊なことはできないよ。ただここ一万年はルービスメゾルも予想通り侵略をかけてるし、すぐにアゼルメーテ達も呼応して動き出した。約千年前にはついにオルメテウスまで重い腰をあげた。ラピロアの言ってた通り、本当に群雄割拠の新時代だね?」
リーゼは心底楽しそうにそう言った。
「割合は?」
「パパやエルミナやミーラル…そしてラピロアの手勢を含めたラピロア陣営が潰したのが全体の7割。ルービスメゾル陣営が2割の、アゼルメーテ、ミグの連合軍が1割。あとはオルメテウスが少しかな?」
「まあ、動かせる物量が違うから当然か」
俺はリーゼに答えた。
ラピロアの九神将…
エルミナの殺六炎舞とエルミナ自身…
ミーラルを含めた陣営…
俺の白神柱とイグロシアルの精鋭…
そして俺自身…
物量、質ともに全宇宙最大勢力である。
「本当はラピロアが動けたらよかったんだけど、チェルシーやプリミティブとの鉢合わせが怖くてそんな危険は犯せない。でもそろそろ宇宙の全体量も目減りしてきた。ルービスメゾル側もそろそろ何か動きがあると思うよ?」
そう。
ラピロアもリーゼと同じことを言っていた。
これ以上、俺達に先回りされるのはルービスメゾル的には面白くないと…
最悪、全盛期の力が戻る前に残存宇宙の数が足りなくなる恐れがある。
俺がそんなことを考えていたその時だ。
ん?転移の気配?
この気配は姉ちゃんか。
俺の予想通り姉ちゃんが現れる。
「鋭治、ゴッズクローンからの情報で異常な戦闘力の未確認のプリミティブゴッド三体が動き出したわ」
俺はニヤリと笑みを浮かべる。
やっときたか。
それにしても三体同時か。
まあ、戦力を小出しにするのは時間稼ぎ以外では悪手中の悪手だからわかるにはわかるが…
「リーゼ、お前は出現傾向から次の出現場所を割り出せ。残りのヤツらはすぐに戻して防衛に回せ。出会い頭に叩くぞ?リーゼは出撃の準備もしとけ」
俺は言ったのだった。




