第901話群雄割拠の新時代
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俺はその後、今回の戦いで戦死した兄ちゃん達を蘇らせた後、リーゼと姉ちゃんを交えて今後の方針を話し合った。
方針的には俺がラピロアと話したのと変わらない。
だが、リーゼや姉ちゃんはそれぞれラピロアのさらに裏をかこうと独自に動き出した。
そしてそれから一万年以上の月日が流れた…
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とある最高神の宇宙…
『ベルダっ!!ワシの宇宙に襲撃だっ!!援軍を頼むっ!!』
その宇宙の最高神ベルダは千以上の最高神をまとめるユニオンの長であった。
本来ならそんな神通が届けば、援軍を送るのは当然である。
何故なら次は自分の宇宙かも知れないからだ。
もっとも今はそれどころではないが…
『自分でなんとかしろっ!!援軍が欲しいのはこっちだっ!!こっちの侵略者は狂雲に黒蛇だぞっ!?今すぐ降伏したいぐらいだっ!!』
ベルダは神通の相手のユニオン傘下の最高神に向かって怒鳴り返した。
降伏は一切受け入れてもらえず、戦いはしたが、こちらの精鋭のオリジンゴッド…
それもユニオン傘下から借り受けた援軍も含めて紙屑のように蹴散らされたのだ。
「侵略者を前に他と会話とはずいぶんと余裕だな?まあ、例えそれが命乞いだとしても聞く耳は持たぬが?ラグア様は仰った。この宇宙を消してこいと…」
狂雲…エリス・イグロシアル…
ここ一万年でそう呼ばれ出したその女は言った。
理不尽なイナゴ…アラウザルゴッドの新参でありながら同じイナゴである白天に付き従う…
白い天を守る狂った雲…
その名をつけたのは誰だっただろうか?
「…本当あんたが味方でよかったんよ…まあわっちとあんたが組むのははじめだけど…」
こちらもここ一万年あたりでそう呼ばれた女は口を開いた。
黒蛇…ミーラル…
理不尽なイナゴの中では弱い方だが、なり損ないイナゴと呼ばれるような特級戦力以外では刃が立たない…
絶対強者であるイナゴの王であるラピロアに従う。
残虐非道と名高く強者にはともかく、弱者には一切容赦のない性格からこの名がつけられた。
「何を仰いますか。今やラグア様と同じラピロア様の配下として肩を並べるミーラル様が…」
エリスは答えた。
「…いや、わっちにはわかるんよ?あんたにとっての絶対はラグア様だけ…ラグア様に言っといてよ。ラピロア様亡きあとはわっちも拾ってもらえるように…」
強者には媚びへつらう。
これも狡猾なこの女が黒蛇と呼ばれるようになった要因だ。
「はい。私の一存では決めかねますが、話は通しておきます…」
その直後なんの前触れもなく、エリスが消えたかと思うとベルダの意識は永遠に閉ざされるのだった。




