第895話迷宮宇宙68
たぶんチェルシーとかいうヤツは計画の全貌を知っている。
どうする?
チェルシーを引きずり出すか?
いや、たぶん計画知っている時点でプリミティブゴッドとしての格はルルアートやビッツよりも上だろう。
勝てるか?
いや勝てたとして、リーゼ達がここに来るもしくはリーゼがミグに負ける前に片付けられるか?
うん…かなり希望的観測に奇跡が重ならない限り、かなり厳しい。
ここでリーゼを失う可能性がある損失以上に、今回の情報が価値があるとは到底思えない。
俺は殺気を霧散させる。
「殿下、わかっていただけたようで何よりです」
ビッツは跪いた態勢のまま恭しくそう言ったのだった。
〜
その頃…
〜第七階層〜
「待ぁぁぁてぇぇぇっ!!クソガキゃゃゃぁぁぁ!!」
とんでもない勢いで追いかけてくるミグの一撃で目玉の化け物はなんの抵抗もできずにミグの神格エネルギーに変わる。
当然ミグも狙ったわけではない。
リーゼを狙うのに邪魔な位置にいるそいつを蹴散らしたに過ぎない。
「いや…待ったら死ぬでしょ?」
縦横無尽に移動しながら、リーゼはときたま概念をぶつけたり地雷クローンを召喚しながらミグの攻撃を妨害する…
〜第八階層〜
ブラックホールの化け物も今のミグにとっては涼風も同然…
一瞬にして神格エネルギーへと変わる…
そして…
〜第九階層〜
「リーゼが2人?めんどくさいよっ!!どっちもぶち殺してやるっ!!」
そう。
最初に扉をくぐり抜けたのはミグではなく、リーゼである。
分身はリーゼの姿を模倣したのだ。
だが、ここでリーゼはある疑問が浮かぶ。
「おかしいな。さっきからうまくいきすぎてるんだよねー。というか危ない攻撃の気配がある時は決まってミグの足が止まるんだよね。まあ…絶対何かあるよね…」
そう。
リーゼはプリミティブゴッドの援護…
それが何かは正確にはわからなかったが、何かが自分に味方していることに気づいていた。
誘き寄せられてる?
でもパパがこないところを見ると黙認?
いや、妥協って考える方がよさそう。
リーゼの頭の中で高速で思考が回転する。
「たぶん扉の絵を見る限り次の階層にはパパがいる…行くべきか?」
リーゼは縦横無尽に回避を繰り返しながらそんな事を呟くのだった。




