第891話迷宮宇宙64
時は少し遡る…
〜第十階層〜
「覚醒っ!!」
俺は覚醒を解放した。
俺のステータスが跳ね上がる。
素の神格エネルギーがルルアートの方が上だからこの選択は当然だ。
だが、ルルアートのステータスも跳ね上がる…
「神毒の覚醒か…一筋縄じゃいかねーわな?さすがに…」
俺はそう呟くとルルアートに向かって突っ込む…
ルルアートもそれに呼応して突っ込んでくる。
素のステータスはルルアートの方が上…
近接戦闘は俺の方が圧倒的に不利だろう。
なら何故俺がルルアートに接近したのか?
そりゃ、コイツをぶち当てるためだよ。
「核玉、神帝の絶対領域っ!!」
俺を中心に神帝の絶対領域が広がり出す…
その瞬間、ルルアートが目に見えて不快な表情に変わる。
「陛下のお力を貴様ごときが…原始の波動っ!!」
ルルアートは俺の絶対領域に対し、初見の技をぶつけて距離をとる。
てかすぐに再生したけど、オルメテウスに続いてこいつも絶対領域にヒビいれやがった…
これはたぶん直撃しちゃいけない技だな。
俺は気を引き締める。
真覚はまだ切らない。
あれは連続使用すると使うたびに少しずつだが、効果が薄まる。
ここぞという時まで残しておくべきだ。
「ほう?砕けぬか。不完全とはいえ一応は陛下のお力であるからな…」
不完全?
神帝の絶対領域って完全じゃないのか?
「貴様は知らなくてよいことだ。アラウザルゴッドよ。貴様に選択肢をやろう。そいつを私によこせ。それは貴様のような者が持つべきものではない」
ルルアートの方が神格エネルギーが上だから仕方ないが、読心か。
厄介だな。
たぶん…てか絶対そいつっての核玉のことだよな?
ん?核玉はたしかルービスメゾルの四つに分かれた魂のカケラ…そしてラピロアは呪玉を持っていた。
不完全?
なんかひっかかかる…
「どうやら渡すつもりはないようだな。ならば死ぬがよい。原始強化」
「ちっ!?真覚っ!!」
いきなり俺の思考をぶった斬る勢いで跳ね上がったルルアートのステータスに俺は堪らず真覚を切る。
神帝の絶対領域に一撃目でヒビを入れ、二撃目で貫いて俺に迫るルルアートの攻撃を俺は弾き飛ばす。
神帝の絶対領域で威力の落ちた攻撃じゃ不滅の領域纏いを壊すには全くと言っていい程足りない。
「これは…ちっ!?」
ルルアートは一歩で神帝の絶対領域の効果範囲外に逃げる…
神帝の絶対領域で吸収した神格エネルギーは核玉の換算で14…
僅かといえる量だが、このまま絶対領域内部で殴り合いをしていれば不利と判断したのだろう。
俺とルルアートは互いに射程圏内から距離をとって再び対峙するのだった。




