閑話アルムス各地の動き
龍王星〜
亜神テオレーム・クリムゾンは龍魔王ソドム・グラファルとの戦闘がはじまってから7年、闘いは完全に泥沼化している。
自分達の周りにはソドムの配下の王級クラスの実力の超竜、数万匹がぐるりと囲っているが誰も自分達の闘いに手を出してこようとはしない。
いや、最初の頃は手を出すものもいた。
全員闘いに参加すらできずに塵になったが…
そんな状況なので俺達の闘いを止めるものはいない。
1人を除いて。
「お前らもうやめとけよ?もう7年だぞ?いい加減にしろよ。俺達はいつまでたっても相打ち以外の決着なんかつかねーんだから。」
そう言うのは俺と同格の上位3魔王の1人、ロロ・ベアトリスクだ。
「儂もやめた方がいいと思うがのう?配下の情報によるとラグアとか言う魔王は、7年も前にミグに殺されたらしいしのう。儂が殺すまでもなくヤツはその程度の存在だったと言う事だ。貴様もエリローズのヤツも殺したいのは山々じゃが、今の儂の力では不可能じゃ。テオレーム、ロロ、もう終わりじゃ、2人共帰れ。」
俺はソドムの言葉を聞いて怒りが湧いてきた。
ありえない。
確かに最初に二代目ラグア殿が負けたと言うのを聞いた時は耳を疑った。
だが、エリローズ様が選んだアイツがそう簡単に負けるなんて有り得ない。
あのお方は我らとは違い、生まれながらの神なのだ。
そんなお方が選んだアイツもそう簡単に負けるわけがない。
なら、自分は使命を全うするだけ。
それがエリローズ様の役に立つのだから。
その時だ。
「「!?」」
この場にいる神の領域に至ったもの全員が同時に感じた。
俺は言う。
「どうやら本当に闘いは終わりだな。俺は仕えるべき主の元に戻る。エリローズ様待ち侘びましたぞ。」
俺達が感じたのは新たな神の誕生。
そしてエリローズ様の復活。
「ちっ、もう神魔大戦は避けられねーか。俺はいつも通り中立を貫くぞ。俺は帰る。」
ロロは最後にそう言って帰って行った。
「エリローズ、あのクソ尼…。ヤツだけは儂が殺す。」
ソドムはそう言って去っていった。
「さて、俺も行くか。エリローズ様、すぐに行きます。」
そう言って最後にテオレームも去って行った。
あとに残されたのは、ソドムの配下のみ。
主人の戻らない彼らがこの星を出るのも時間の問題だ。
死王星〜
魔王、ミュラ・ゾフィスは死王星に新たに建てた自らの城の玉座に座っていた。
隣には妹もいる。
城の管理やミュラ達の世話はロロから借りたアンデット達がやってくれている。
はっきり言ってすることがない。
妹と何か話でもしようかと声をかけようとした時だ。
今まで消えていたラグアの強烈な気配を感じた。
しかも戦っている相手も帝級クラス。
ミグ早まるなよ。
ミュラはミグに連絡を取ろうとしたが、既に妾の配下を振り切ってゾフィス夜王国を出たと言う。
やはり妾が直接行かねばならないか。
「ミュン、ロロ様もここに向かっている様だから帰ったらよろしく言っといてくれ。妾は馬鹿を止めてくる。」
おそらくミグの方が先に着くだろう。
頼む間に合え。
ミュラは全速力で飛ぶ。
ゾフィス夜王国跡地上空〜
ミグ・ヒピーはラグアの反応があった場所まで全速力で飛ぶ。
本来転移を使ったほうが早いのだが、ラグアを相手にいきなり至近距離に行くのは危険だ。
その代わり8つの帝級スキルははじめから全開だ。
まさか、生きていたとは…
今度こそ、今度こそヤツはあたしが殺す。
ミグはそう思いながら全力で飛ぶ。
ラグアのいる場所にこの世界の頂点の大部分が集まるのは時間の問題だった。




