第889話迷宮宇宙62
「リーゼ……まさかラグアに会う前に切札を全部切るハメになるなんて夢にも思わなかったよ…」
ミグの神格エネルギーが目まぐるしく増減を繰り返す…
その幅は広く、アゼルメーテに匹敵するほどの神格エネルギーになる時もあれば、下級神並の神格エネルギーに落ちることもある。
「なるほど…それが転生の領域纏いの副作用の方か…」
「そう。リーゼ、たしかお前は他者の考えが読めるんだっけ?なら隠しても仕方ないから言うよ。あたしの転生の領域纏い、無限転生は触れたものの魂を輪廻の外に吹き飛ばす…。副作用で自分も転生を繰り返しちゃうから神格エネルギーが安定しないんだけど…」
ミグはそこで一度言葉を切る。
起玉の神帝の覚醒概念を転生に使ったのだ。
「神帝の覚醒概念は概念を一段階上位のものに昇華する…今回の効果は、これであたしの現在の最大神格エネルギーを下回ることはなくなった。つまり………弱点は消えた…」
ミグはその言葉を言い終えると同時にリーゼに突っ込む。
「…補足するなら触れられたら魂がどっか行っちゃうから廃人確定か。いいねー、タッチされたら終わりの鬼ごっこかー?ドキドキするね?」
対するリーゼはオッドアイの瞳に狂気を漲らせながら、千手観音モードを完全に解除してデフォルトの幼女の形態に戻る。
触れたら終わりの鬼ごっこでわざわざ体積を増やすなど、アホのすることだから当然である。
ミグの初撃をリーゼはなんなく躱す。
今の攻撃の時点の起玉の換算のミグの神格エネルギーは905…
余裕である。
問題はこれからだ。
二撃目…
ミグは千手観音モードを展開する。
リーゼとは正反対にミグの方は触れたら勝ちだ。
あげくに起玉の換算の503の神格エネルギーを下回ることは絶対になくなった。
つまり…
ミグの無数の触手がリーゼを襲う…
605…1324…1784…802…そして…
2348…
ついにミグの神格エネルギーがリーゼの現在の神格エネルギーである2030を超えた…
その神速とも言えるような圧倒的な速度で、ミグの触手がリーゼを貫かんと迫る…
だが…
「…甘いよ」
ミグは天刃の概念を触手にぶつけることで触手の起動を変える…
そして起動を変えた隙間に潜りこむ。
2721…
再びミグの神格エネルギーがリーゼを超えるが結果は同じだった。
「な…なんで…!?」
ミグは目に見えて狼狽しだす…
「ふふふっ、その程度でリーゼに勝てると思ってるなんて甘すぎるよ?」
対するリーゼは満遍の笑みを浮かべる…
だが、その笑みが作り笑いであることにはリーゼ本人以外は気づかなかった。




