第884話迷宮宇宙57
時は少し遡る…
〜第九階層〜
俺はアテーゼと協力し、俺の分身をただひたすら殴り続けていた。
「よし、頃合いだな?アテーゼ、退がれ」
「はいラグア様」
俺の命令に従い、アテーゼは俺の分身の拘束を解く…
すぐに俺の分身は俺と同様の動き…つまりは距離をとる。
俺は核玉の神格エネルギーを全て解放する。
分身の方も神格エネルギーを解放するが、最初とは違い、明確な差がある。
当たり前だ。
俺が一撃加えるごとに俺の神格エネルギーは増えて分身の神格エネルギーは減るのだ。
しばらく続ければこうなるのはわかっていた。
「終わりだ死ね」
俺は分身を引き裂こうと触手一本に全神格エネルギーを込める…
分身も同じように全神格エネルギーを込めるが、総量で俺には及ばない…
二つの触手は激突する…
完全に引き裂かれることはなかったが、押し負けたのは分身の触手だ。
俺は次々に連撃を浴びせる…
当然全て押し負けるのは分身の方だ。
しかもその差は段々と開く為、分身の触手はしだいに傷つきはじめる…
こうなったらあとは早い…
分身の触手が次々に引き裂かれ、最後には分身自身が引き裂かれるまでそう時間はかからなかった。
〜
「くくくっ、神格エネルギーが倍になったか?めんどくさかったが、悪いことばかりでもなかったな」
俺は言った。
分身の神格エネルギーは丸ごと俺のものになり、今の俺の神格エネルギーは3184にもなる…
「それより問題は…こんな状態でも生きているコイツをどうするかだが…」
俺は下級神以下の神格エネルギーにも関わらず、まだ生きている俺の分身を見据えながら言った。
こんな状態でも、俺の動きを真似ようとしているのがもはや滑稽である。
「たしかいつかのジジイは俺の魂を分譲の概念でわけてから、封印しようとしてたよな?やってみるか…」
俺はそう言って滅多に使わない分譲の概念を発動させる。
その瞬間だった。
二つに割れた魂が両方とも勝手に俺に吸収されたのは…
「…まあ、あくまで俺がオリジナルだしな…」
俺は納得したのか微妙な感じでそう言った。
まあ俺をベースに作り出された分身は最終的にオリジナルである俺に帰る的な…なんかうまく言えないがそんな感じだろう。
こんなことを言うとドッペルゲンガー的な話になるのか?
と思った瞬間、ふざけた娯楽狂いの顔が頭の片隅にチラついたから俺は思考を強制終了させる。
俺の前には扉が現れる。
そして…
「さてさて、因子のカケラとかいうヤツが揃ったらどうなるんだ?」
俺はそう言って詳細を確認するのだった。




