第883話迷宮宇宙56
ミグはキャッスル・オブ・リーゼの中を恐ろしいスピードで進み続ける…
そこには共にここに来た仲間もいなければ、立ちはだかる敵も存在しない…
あるのはこの惨状を巻き起こした1人の存在に対する憎悪…
ただそれだけである。
〜
恐ろしい早さでキャッスル・オブ・リーゼの最上階にたどりついたミグは扉を乱暴に蹴り飛ばす…
扉は吹き飛ぶどころか、一瞬にして跡形もなく消滅する…
ミグは扉の先…奥にある玉座に目的の人物を見つける…
すぐ後ろには扉があり、その先には夢にまで見た宿敵であるラグアがいるのだろう。
だが、そんなことより…
「リーゼぇぇぇぇぇぇ!!」
ミグはただ怒りのままに叫んだ。
「うるさいなー。そんなに叫ばなくても聞こえてるよ。ミグ、よく来たね?ミグ、リーゼは最上階にたどりつくのはお前1人だって言ったけど、本音を言うと誰もたどり着けない可能性も十分にあると思ってたんだ。まずはおめでとうと言っておこうかな?」
リーゼは口元に笑みを浮かべるが、目は全く笑っていない様子でパチパチと手を叩きながら言った。
「リーゼ…お前は許さないよ…みんなの怨みはここであたしが晴らす…」
「それはこっちのセリフだよ?叔父さんやマリアやギースがみんなで作ってくれたこの舞台…。演出の為に玉座も作り直したけどまだ足りないものはあるよね…」
リーゼはそこで一度言葉を切ってオッドアイの瞳に殺気を漲らせる…
「…てめえの屍だよっ!!それがあってはじめてキャッスル・オブ・リーゼは完成するんだよっ!!あ?脳筋ゾンビがっ!!」
完全に口調が変わったリーゼだったが、ミグはそれに対して目を丸くする…そしてその直後、狂ったように笑い出す…
「キャハハハハハハハハハっ…………そっかラグアの娘だったっけ?」
ひとしきり笑い終わり、獰猛な笑みに変わったミグはそう言った。
今にも飛びかかりそうな勢いである。
ここで、リーゼも落ち着きを取り戻し、邪悪な笑みを浮かべる…
「ふふっ、その余裕いつまで持つかな?まあ、お前にはご馳走様って言うのが正しいよね?」
リーゼはその言葉と同時に抑えていた神格エネルギーを全開にする…
「!?っ」
起玉の換算でその恐るべき数値にさすがのミグも表情を驚愕に変える…
1245…それが起玉が示したリーゼの神格エネルギーだった。




