第875話迷宮宇宙48
アテーゼは簡単に言うと俺で言うリムリットである。
リーゼの創造の概念から生み出されたリーゼを絶対神と崇める存在だ。
俺は自分の真横にアテーゼを呼び出す。
逆に俺の分身の方の横には何もでない。
コピーできるのはあくまで俺の能力までってことか。
呼び出したのがリムリットだったらまた別の結果になったかも知れないが、分身ではアテーゼは呼び出せないようだ。
一応はオリジンゴッドの枠に至っているとは言え、リムリットに比べてアテーゼの神格エネルギーは相当小さい…
俺はアテーゼの神格エネルギーに合わせて、余った分は核玉に収納する…
分身の神格エネルギーもそれに合わせて小さくなる…
なら…
「アテーゼ、押さえつけろ。タコ殴りにしてやる」
「はっ、ラグア様」
こうして時間はかかるが、蹂躙戦がはじまった…
〜
その頃…
「…はあ…アラウザルゴッドのくせに相変わらずせこいなー。ラグアは…」
「…ラピロア様!?アゼルメーテは?」
手持ちぶさとなり、ラグアの戦いを見ることに集中していたラピロアに対し、復帰したエルミナは言った。
「ん?エルミナ、起きたみたいだね?エルミナもいっしょに見るかい?アゼルメーテなら…ほら?まだ寝てるよ?」
ラピロアは未だ目を覚さないアゼルメーテに視線を送りながら言った。
エルミナはアゼルメーテを見据えるが、言葉にはしない。
ラピロアはそれを肯定と受け取ったのか、エルミナに神の千里眼を共有させる。
「………なんて言うか…ラグアらしいな…」
エルミナは若干呆れながらそう呟いた。
「だよね。あの子はあの子でこういうところはあんまりイナゴらしくないよね?」
「イナゴらしいって言うかそもそも神らしくねーよ。もうアイツに勝てるヤツなんか数えるほどしかいねーのに、生物の…しかも小物みてーな戦い方を好き好んでするのはアイツぐらいだぜ?」
「まあ裏を返せばそれだけ勝利に貪欲なんだろうけどね?まあボクは真似できないし、真似する気もないけど…」
ラピロアの最終目的は自らの死である。
仮にラピロアがラグアのような戦い方をした場合、その日は未来永劫訪れることはないだろう。
「まあ、アゼルメーテが起きるまでのんびり鑑賞会といこーよ?アゼルメーテも起きたら見るかな?」
先程までの圧倒的な力は鳴りを潜め、いつもの調子に戻ったラピロアはそう言ったのだった。




