第871話迷宮宇宙44
「…どうやら義姉様とやらよりは遥かにマシなようですね?何故あなたが、あのような者を敬愛するのか理解できません」
シャドウラルファは言った。
マリアの神格エネルギー…
それはオリジンゴッドの域にまで至っていた。
と言ってもなり損ないのイナゴとは言いがたい、オリジンゴッドの中では駆け出しの部類だが…
「黙れ。貴様ごときが義姉様に対する侮辱は許さん」
その瞬間だった。
あたかも今までそこにいたかのように大量の存在…
おそらく媒介クローンが現れる。
「ミグ様、ここは私が出ます」
それを見てもはや語る言葉はないと判断したシャドウラルファの動きは早かった。
なり損ないのイナゴのステータス…
それは媒介クローンではとても捉えることができなかった。
いかにリーゼの分体に制御された媒介クローンとはいえ、身体能力自体はプロトクローンと変わらない。
それ以上にもっとも媒介クローンの制御に回っていたのが、リーゼの本体であれば結果は違っていただろうが…
シャドウラルファはマリアに迫る。
「見事。口だけのゴミではなかったようだな?まあ、もっとも…」
今にもシャドウラルファの一撃が刺さりそうな状態でもマリアは余裕を崩さずそこで一度言葉を切る。
その直後だ。
シャドウラルファが真横に吹き飛び、その先で概念を準備していた媒介クローンの概念が刺さり消滅させられるのは…
「力があろうがなかろうが、ゴミには変わりないがな?」
マリアは最後まで言い切った。
シャドウラルファを吹き飛ばした者の正体…
それはかつてフィアナが使っていた特別仕様のラグアの分体である。
さらにそれらはマリアの周囲に続々と現れはじめる。
分体とはいえ、今のラグアの力はかつてフィアナが使っていた特別仕様の分体とは比べものにならない。
ラグア本体の力が増すにつれてその性能もアップグレードされている。
そしてそんな存在が合計1000体…
「くくくっ、まあここまでたどり着いたことは褒めてやろう。だがそれまでだ。貴様らごときがリーゼ様のご尊顔を見ることはない」
マリアのその言葉とともに特別仕様ラグアの分体達はあらかじめ役割が決まっていたかのように、一矢乱れぬ動きでマリアを守る者を残して方々に別れる…
マリアの手元に残っているのはせいぜい200だ。
それ以外はそれぞれの敵の撃破に向かう…
だが…
「そんな小手技であたしを倒せるとでも思ってるのかなー?舐められたもんだねー?」
ミグに向かった約100体の分体はミグに触れることもできないまま塵と化す…
「思ってはいない。まあ貴様は私が相手をしよう」
無限分裂により即座に再生した分体とマリア自身の護衛を合わせた合計約300体の分体とミグの戦いがはじまる。




