第869話迷宮宇宙42
第五階層…キャッスル・オブ・リーゼ、1階中腹…
「あー!!ムカつくっ!!」
怒りのあまりミグはキャッスル・オブ・リーゼの壁を蹴り飛ばす…
アラウザルゴッドの恐ろしい力で蹴り飛ばされた壁は跡形もなく消しとぶが…
「いっ!?」
その壁の中に生き埋めにされていた媒介クローンの概念が発動し、ミグはほんの僅かだが神格エネルギーを奪われる…
ミグの怒りは頂点に達する…
「クソぉぉ!!あのガキぃぃ!!殺してやるよぉぉ!!」
「落ち着けミグっ!!」
ロロの一喝でミグはようやく落ち着きを取り戻す…
ここに来るまで6度…
ミグ以外のメンバーは媒介クローンによって倒されている。
そしてたった今、ミグ自身も倒されるまではいかないが、僅かに神格エネルギーを奪われる結果となった。
「人を小馬鹿にしたような策…こちらの動きを完全に読んでいるかのように行動全てが裏目に出る…本当に化け物だな…」
ミュラはリーゼをそう批評した。
「ミュラ?どーすんの?さっきウチもやられたけどこの城の仕掛け性格悪すぎなんよ」
アンチステータスゾーンにぶち込まれた時、そこには三島煌一が待ち構えていた。
神格エネルギーを感じないのは悟られない為かと判断したミグはすぐに潰しにかかったが、実際には制御すらぶん投げた突っ立っているだけの、ただの囮の分体だった。
結果はミグがミュラ達から離れた瞬間、狙っていたかのようなタイミング…いや、実際に狙っていたのだろう。
狭い部屋いっぱいの媒介クローンの概念の嵐である。
「みんなっ!!こうなったら強行突破だよ!!」
ミグはそう言うがそれにシャドウラルファは待ったをかける。
「ミグ様、私は反対です。リーゼお姉様の策によって行動全てが裏目に出ている現在、ミグ様1人による侵攻は危険すぎます」
「ならどうすんのさっ!?」
ミグがそう叫んだ時だ。
「どうするも何も、どうしようもあるはずなどなかろうに…貴様らのゴミのような頭脳でリーゼ様の崇高なお考えが理解できるはずなどないだろう?」
奥からこちらにゆっくりとピンク色の髪の女が近づいてくる。
「ラルファ、誰あれ?」
ミグはそう聞いた。
シャドウ計画の結果、若干古いとはいえラグア陣営の面だったメンバーはラルファと面識があるはず。
そう判断してのことだった。
「マリア…リーゼお姉様の2人の腹心の1人です。当時の階級は特別幹部…」
「今は最高幹部だ。寝返り人形。はじめましてと言っておこうか?私は惑星国家イグロシアル、最高幹部、第一星帝直轄、司令、マリアという。覚えておけ。寝返り人形」
マリアはそう名乗ったのだった。




