第862話迷宮宇宙35
ミグ達が第五階層についた瞬間だった。
ミグは舌打ちをする…
「ちっ…蝿共か…まあ逆に言えばラグアが近いって事だろうけどさ…」
扉の前で待ち構えていたのは大量のプロトクローン…
だが、そんなものは当然相手になどなるわけがない。
「ミグちゃん、ここは私に任せて」
ミュンは言いながら前に進みでる。
この中では最弱とは言え、いくらなんでもプロトクローンごときにおくれをとるミュンではない。
「ミュン。何か引っかかる。あまり油断は…」
「大丈夫だよお姉ちゃん。神格エネルギーは感じないし」
姉の静止をそう返すとミュンはプロトクローンの撃破にかかる。
ミュラ以外のメンバーは静観する…
ミュンがプロトクローン如きに苦戦する未来などまるで見えないからだ。
「「………」」
対するプロトクローンは何も言わない。
光の速さすら超えるミュンの一撃がプロトクローンに刺さる…
だが…
「な…なんで…」
その言葉は上下真っ二つになったミュンから出たものだった。
ミグ達、他の面々も信じられないその状況に目を見開く…
〜
〜第五階層、最上階〜
「ふふふっ、うまくいったねー?いやウリンの新作はそこそこ使えるって言った方がいいのかな?」
「リーゼ?あれなんだ?」
リーゼのその言葉に三島煌一はそう聞いた。
「まあ名付けるなら爆弾クローン…いや、媒介クローンって言った方がいいのかな?あらかじめセットした神格エネルギーを込めた概念を撒き散らす発射台だね」
惑星国家イグロシアル、星王ウリン・ドーラス・イグロシアルの新作、媒介クローン…
リーゼはラグアから重ねがけした黄泉の神の一部を媒介クローンに仕込んでいた。
戦闘力自体は大したことはない…
王級クラスの機動力はあるが、思考能力が皆無でいくつかの行動パターンしか実行できない為、単純な戦闘力はプロトクローンにも劣る…
だが、それを補うほどの性能がひとつだけある。
それは…
「これの利点は術者であるリーゼ以外は起爆の瞬間までいつ爆発するか、わからないところだよね?神の千里眼で遠距離概念攻撃じゃ、ある程度実力があるヤツには直前にわかっちゃうけど、これはその兆しを隠すことに特化しているって言えばいいのかな?生命体自体を隠れ蓑にしてね?」
リーゼはニヤリと笑みを浮かべると三島煌一に説明するのだった。




