第859話ラピロアVSアゼルメーテ6
「さあ続ける?それとも…」
「神玉…」
アゼルメーテはそう呟きながら神玉に力を込める…
アゼルメーテの神格エネルギーはさらに膨れ上がる…
その数値は神玉の換算で、第五形態を解放したラピロアには遠く及ばないが、驚愕の約5万6千…
正真正銘の神格エネルギーだけなら全力のアゼルメーテである。
「へぇ?まさか半分以下の力で第四形態が抜かれるなんて思っても見なかったよ…もしかして前に戦った時も本気を出せば第四形態ぐらいなら抜けた?」
「たしかに全力でやれば抜けたかも知れないな。もっともあの時はお前の権能の概念の力をはじめて目の当たりにして、そんな気は完全に消え失せたが…」
「すごいよ…感動だよ…君なら本当にいつか…」
アゼルメーテの湧き上がる神格エネルギーを見ながらラピロアは期待のこもった視線を送っている…
「神玉、神格流動っ!!」
神格流動…
神格エネルギーの最高率化により爆発的に神格エネルギーを高めたアゼルメーテの一撃がラピロアにつき刺さる…
「見事。まさか指一本で止めようと思ったら指先を吹き飛ばされるとは思わなかったよ」
アゼルメーテには逆にカウンターとも言える一撃が突き刺さっている…
「ぐっ…化け物め…」
その言葉を最後にアゼルメーテは地に倒れ伏す…
「はははっ、やっぱり君はすごいよ。ちょっと取り乱しちゃったけど、こんなに派手に動いたのは久しぶりだったよ。ありがとね?」
言いながらラピロアは本来嫌っている、権能の概念を発動させる…
アゼルメーテの失った神格エネルギーが元通り…いやそれ以上になる…
神玉の換算だとちょうど10万という数値にまで…
「これは楽しませてくれたお礼にボクからのチップだよ?」
ラピロアは倒れ伏すアゼルメーテを笑顔で視線を送ると言った。
とここでラピロアはある事を思い出す。
「あ、そうだ。エルミナ」
ラピロアは断絶の概念融合を解除する。
「あれ?ちょっと刺激が強すぎたかな?エルミナー?」
気絶こそしていないが、放心状態のエルミナの視界でラピロアは手の平を上下に振る。
反応はない。
アゼルメーテは気絶…エルミナはとても口が聞ける状態にない。
暇を持て余したラピロアはもう1人の配下であるラグアのいる迷宮宇宙に目を向ける…
「へぇ…アゼルメーテもなかなか食えないねー。まあアゼルメーテも頑張ってくれたしその心意気は買ってあげないとだね。いざという時には止めに入るけどそれまでは放置でいこうかな?」
ラピロアは答える相手のいない自らの拠点でそう呟いたのだった。




