第841話ラピロアVSアゼルメーテ
時はミグ達が迷宮宇宙に乗り込んだ頃まで遡る…
〜ラピロア拠点宇宙、本拠地〜
そこはいつもと何も変わらないラピロアが支配する100を超える宇宙が360度に球体となって一望できる…
無論玉座に座るのはこの宇宙…いや、全宇宙の支配者と言っても過言ではない絶対の存在…
白と黒のツートーンカラーの髪のあどけない少年のように見えるが、所詮は見た目だけの話だ。
そう。
玉座には全宇宙、唯一絶対の神…2番手のアゼルメーテに絶対の差をつけ続け長い長い時にわたって君臨し続ける…
神帝ラピロアが静かに鎮座していた。
脇には腹心であるエルミナも控えている。
だが、唯一いつもと違う点はある。
玉座に座るその神帝が期待に満ちた表情でニヤけているのだ。
「ねえ?エルミナ?まだかな?アゼルメーテはまだかな?」
見た目通り…それこそ本当の子供のようなあどけない表情を浮かべながらラピロアはエルミナに言った。
「…あの化け物女からの挑戦状にそんな事を言えるのはラピロア様ぐらいだぜ?なあ?ラピロア様?オレ帰っていいか?巻き添えで死んじまいそうだ」
対するエルミナは灼熱に輝く髪をなびかせながらそう言った。
「えー!?ダメに決まってるでしょ!?それにエルミナも今後の勉強の為に………ほら来たみたいだよ?」
「完全に逃げるタイミングを失ったじゃねーかよ…」
素早く転移の気配を感じとって言ったラピロアに、エルミナはそう答えた。
ラピロアが視線を送ったその一点…そこにはまるではじめからそこにいたように、金髪の絶世の美女の姿が現れる。
だがその表情は完全に無表情で、一切の人間的な感情の色はなく、まるで人形のような印象を受ける…
アラウザルゴッド中、神格エネルギー保有量2番手…
それは名実共に神帝ラピロアにもっとも近い存在と言えるだろう。
孤高のアゼルメーテ…
もはや気の遠くなるような長い時をそう呼ばれ続けた存在は静かに口を開く。
「久しいなラピロア。今宵は我の誘いを受けてくれたことに感謝する」
そんなアゼルメーテにラピロアは無邪気に笑う。
「はははっ、一応久しぶり?なのかな?ミグって子の付き添いで君が来た時以来だからそんなに間は空いてないはずだけど、やりあうのは本当に久しぶりだね。ただボクには君がボクの第三形態を抜いたあの日が昨日のように感じるよ。どうも長生きしすぎると時間の感覚が曖昧だ。ねえ?エルミナ?」
「いつの話をオレに振ってんだよ?オレが生まれる前の話じゃねーかよ?」
ラピロアのその言葉にエルミナはそう突っ込む。
こうしてラピロアとアゼルメーテは互いに向かい合うのだった。




