第835話迷宮宇宙14
ラグア達が3階層に通じる扉をくぐり抜けた頃…
ミグ達は1階層のフロアボスと相対していた。
「なんか久しぶりの敵だね?」
まだ一定の距離があり、動こうとしないフロアボスを見据えながらミグは言った。
「これはおそらくだが、ここまでの敵はラグア達に倒されたと見るべきだな。一体だけ残っているところを見るとアレはあの奥の扉を守る番人でだろう」
ミュラは答えた。
ミュラの予想はほぼ正解と言ってもいい。
1階層の敵はほぼラグア達によって倒されて、再び復活…正確には再出現するにはまだ時間が必要だった。
だが、フロアボスだけは違う。
フロアボスは本来、侵入者を阻む目的で配置されている。
それを他の神級獣や神装獣のように再出現まで時間を要するようでは、素通りされてしまう。
ゴッズウェポンに至ってはラグア達が扉をくぐり抜けた直後に再び配置されていた。
もっとも再出現したのはあくまでフロアボスという存在であり、ラグア達が戦った個体とはまた別物だ。
宙に浮いた魔術師風のローブ…
同じく宙に浮いた杖…
さらに見えにくいが、本来なら右腕が収まるその位置には腕輪が浮かんでいる…
もっとも右腕どころかローブの中身は空っぽで全て不気味に浮いている状態なのだが…
「さて、じゃーラグアにだいぶ遅れてるみたいだし、サクッと…」
「待てよミグ?ここは俺にやらせてくれねーか?」
ミグの言葉を遮って一歩前に出たのはジオだ。
「まあ、見たところ雑魚みたいだし別にいいよー?」
対するミグも気配でだいたいの相手の強さをわかっているので、特に気にした様子もなくそう言った。
ミグのその答えを確認するとジオは思い切り一歩を踏み出す。
それは光速を遥かに超える一歩だった。
その一歩でジオはローブのウェポンゴッドに肉薄する…
既に肉薄するまでのほんの僅かな時間で攻撃態勢は整えている。
ジオの一撃がローブに突き刺さる…
〜
「明らかな過剰攻撃だな…」
木っ端微塵に爆散したローブのウェポンゴッドを哀れな目で見ながらミュラは言った。
「ただ最短で倒しただけだよ。ここに来るまで一回も戦っていなかったから敵の強さも確認したかったしな?」
ジオは言った。
そう…ジオもまた、今では通常のオリジンゴッドでは相手にすらならないオリジンゴッドの一人だ。
ただのゴッズウェポンごときが相手になどなるはずがなかった。
「さすがジオっちだねー?っと…これで86かな?」
「84だ。お前は数も数えられないのか?」
ミグのその言葉にロロは呆れながら突っ込みをいれた。
こうしてミグ達一行も2階層…永久凍土に通じる扉をくぐり抜けるのだった。




