第832話迷宮宇宙11
ラグア達が次の永久凍土に開く穴の前で時間を潰している頃…
ミグ達一行はとんでもないスピードで爆走していた…
「78………79、80………………81………」
「おい!!誰かこのバカを止めろっ!!てかコイツ何数えてんだよっ!!」
「ジオ?ウチらみたいな三下ごときがミグを止められるわけないでしょ?あとミグが数えてるのは倒した敵の数じゃない?なんかここの敵は倒すと神級武器や神級装備やゴッズウェポンになるみたいだよ?」
ジオ・デストロイア、そしてシーラ・ベルネイアはお互いミグの触手に絡め取られた無様な姿でそんなやりとりをする。
「あのバカは俺達をこの速度で運びながらそんな事してるのかよ…」
ジオのミグを見る目はふざけた存在を見るものに変わるが、それにラルファがさらに追い討ちをかける。
「それだけではありません。ミグ様は攻撃用の触手で敵を倒すと、その直後に神の千里眼と神眼の神の合わせ技によってアイテムに変わった敵を亜空間に回収しているようです」
「わかった…。ミグがとんでもないヤツだってのは長い付き合いで百も承知だ。まあ、それでも勝てないお前のオリジナルの親父は化け物だけどな?ラグアは誕生してほんの僅かな時間で俺を殺したんだぜ?」
ジオはラルファにそう答えた。
余談だが、シャドウの宇宙でミグが勧誘したシャドウラルファも、長い時間の間になんだかんだでミグ達の陣営に馴染んでいた。
その時だ。
突然の急停止…
ミグ以外のメンバーにとんでもない衝撃が襲う。
「ミグ、お前…いい加減にしろよ?」
さすがにブチギレたロロ・ベアトリクスは青筋を立てながらそう言った。
「ごめんロロ様。でも見て?ここからなんか雰囲気が違うよ?なんか部屋があるし…あれ?」
ミグの言う通りそこは部屋になっていた。
だが、ミグが話している途中である事に気づいてしまった。
ミグの目は部屋の左側に向けられていた。
「これ入り口のところにあった穴だよね?たぶんラグア達が空けた…」
「そうだな。つまりはここから先は敵が極端に少ない可能性がある。二代目ラグア達とのだいぶ差も開いている今なら接触する可能性は低いはずだ」
「さすがロロ様だねー?てか二代目ラグアなんてセリフ久しぶりに聞いたよ。そっか…アルムスもうないんだよね…」
ミュラは若干心配そうにミグを除きこむ…
「ミグ…」
「って関係ないよ?あたしはみんながいればそれでいい。ここにいるみんなと…最近はアゼルメーテもかな?それだけがあればいい。それがあたしの全てだよ」
ロロのその言葉に一瞬アルムスを思い出したミグだったが、すぐに笑みを浮かべるとそう言ったのだった。




