第828話迷宮宇宙7
俺達は扉をくぐり抜けた。
そこには…
「見渡す限りの永久凍土か。ここは氷雪系の装備が手に入るとでも思えばいいのか?」
俺達の目の前には一面の氷の世界が広がっている…
逆に後ろを振り返ると完全に物理的にも、景観的にも浮いている扉があるのは気にしないでおこう。
「そうなんじゃない?あれとかママの杖にそっくりだし…」
気配で気付いてはいたが、それぞれ杖、槍、ローブが宙に浮きながらこちらに向かっている。
そしてあの杖はたしかに俺がルルに800万歳の生誕祭であげた物…ゴッズウェポン、神氷の杖とそっくりだった。
「ねえ?パパ?連戦で悪いけど、あの集団はリーゼにやらせて?パパのママに対するプレゼントは唯一無二だよ。二つはいらない…」
最後に冷たくそう言い放ったリーゼは既に槍やローブなど全く眼中になく、杖しか見えていない。
「鋭治?やらせてやれよ。なんかリーゼの中で譲れないもんがあるみてーだ。俺はそういうのは大事だと思うぜ?」
兄ちゃんはそう言ってリーゼの後押しをする。
まあ雑魚が三体に増えたところでリーゼの敵じゃない。
ここはリーゼにやらせても問題はない。
俺はコクリと頷く。
その瞬間だ。
「概念、天刃っ!!」
俺の許可待ちだったリーゼは即座に概念を発動する。
天刃の概念はそれぞれ槍とローブをズタズタに引き裂くが、リーゼはその結果を見るよりも早く杖に肉薄する…
「ごめんね?この一瞬でもお前が存在してる事実が許せなくてさ?」
リーゼの全神格エネルギーを込めた一撃が杖に刺さる…
木っ端微塵どころか、杖ははじめから存在すらしなかったかのように消えてしまった。
だが…
「これでも再構築できるんだね…なんなんだろうね?このシステム?」
リーゼは呟いた。
完全に消滅したかに見えた杖だったが、どこからともなく光が集まりゴッズウェポン、神氷の杖へと再構築された。
先にズタズタに引き裂かれた槍とローブも既に再構築されている。
「本当は粉々にしたいところだけど、さすがにそれはやっちゃいけないのはリーゼだってわかるよ。はいパパ?」
そう言ってリーゼは集めたドロップアイテムを渡してくる。
これで127か…
今回はそこまで時間に迫られてるわけでもないが、まだまだ先は長いな。
俺は思うのだった。




