第819話1カ月の動き…
俺はこの一か月、ラピロアのところに行った以外は大した動きはしていない。
だが、俺の配下達は忙しく動き回っていた。
それもリーゼの指揮の下と言うだけではない。
より良い…それこそ迅速に結果を出す為、セリー達最高幹部も動いていた。
〜
〜惑星国家イグロシアル、神星帝ラグア・エルライド・イグロシアル支配下、第10宇宙〜
「何っ?オレに客だ?約束のない謁見だろ?追い返せ」
元、悪食コレートルの配下にして、現、白天の配下…惑星国家イグロシアル、最高幹部にして第10宇宙統括…フィードアークは客の来訪を告げる配下に向かって言った。
「申し訳ございません。我々では厳しいかと…フィードアーク様が直接お会いになられるようお願い致します」
「ちっ…」
配下のその言葉にフィードアークは舌打ちをする。
それはつまり、相手の立場が自分と同格の最高幹部である事を示していた。
もし、これが自分よりも下の階級のものなら、日を改めるように促せば従うだろう。
逆に、自分よりも階級が上…例えば星王とか星帝とか呼ばれる連中なら、配下の報告よりも先に自分の前にいてもおかしくはない。
この中途半端な結果が相手が自分と同格の最高幹部である事を示していた。
「……通せよ。ちなみに誰だ?」
不機嫌を隠しもせずに、フィードアークは配下にそう聞いた。
「はっ、本国の最高幹部、四天王の1人…フィリア・アース様がいらっしゃっています」
古参のお喋り羽虫女か…
フィードアークは内心そう思ったが、口には出さない。
どこで誰が聞き耳を立てているかわからないからだ。
フィードアークを含めた全員ではないが、何人かの宇宙統括は古参の最高幹部を舐めている…
理由は明白…
大した力もないくせに古参というだけで、自分達と同等の地位にいるのが気に入らないのだ。
そんなフィードアークは古参の最高幹部にそれぞれ、もはや貶しているとも言えるレベルのあだ名で内心では呼んでいた。
頭でっかちチビ女…
お喋り羽虫女…
無口羽虫女…
ウジ虫勇者…
それぞれセリー、フィリア、フィリム、サウロスを示すのだが、最後のサウロスに至ってはもはや喧嘩を売っているとしか言えないレベルのものだ。
だが、同時に酷いあだ名をつけられていない3人…
ライナーとシュドレ、さらにはシオンには純粋な敬意を持っている…
そう。
惑星国家イグロシアル、最高戦力下位勢の実力はフィードアーク達、宇宙統括の実力を凌ぐ…
白天様も古参だからって、なんであんなゴミ共を可愛がっているのやら…
コレートルの配下だった頃ならあんな連中、即座に餌にしていいって許可が出たのに…
フィードアークはそんな事を思うが、かと言って白天、ラグア・エルライド・イグロシアルに対する敬意も忠誠も変わらない。
力…それだけが彼らにとっては唯一の正義だからだ。
それさえあればどんな行動も正義に変わる。
それが彼らの理念なのだ。
コンコン…
部屋にノックの音が響く…
「入ってもらえ」
フィードアークはそう入室を許可すると、これから入ってくるであろうお喋り羽虫女…もといフィリア・アースの応対に備えるのだった。




