第816話エリスの褒美
「ラグア様、いかが致しましょう?」
「ん?お前が決めればいいんじゃねーか?」
俺の意見を仰ぐエリスに俺はそう答えた。
「ですが…」
「お前が得た褒美なんだから気にすんな。てか、ラピロア様?その褒美っていうのは、俺の時の褒美といっしょなのか?」
「ラグア、いい質問ですねー?君に与えた褒美よりもランクは更に上だよ。何しろ文句なしにいきなり第三形態まで撃破されたわけだし…例えばあの時君は宙喰を選んだけど、エリスにはその他にもう一つ解放してあげられるよ?」
どうやらどこまで抜いたかによって報酬のラインナップが変わってくるらしい。
ラピロアの口調がどこかの某ジャーナリストみたいなのはこの際触れないでおこう。
「でしたら私の望みは二つともラグア様に…」
そう言いかけたエリスを俺は止める。
エリスならこうくるのは予想はついた。
「それはダメだ。エリス、お前が得た褒美だろ?自分で使えよ?」
「しかしこればかりはさすがに譲れません。ラグア様の意志に私如きが背くのは、大変恐縮ですが、が私に決めろと言うならば…」
あー、なんか変な流れになってきた。
強く言ってエリスを従わせるのは簡単だが、それはあんまりよくない。
萎縮してエリスが俺なしでは何もできないイエスマンになられても困る。
なら…
結局俺が決めるのかよ…
まあ最低一つはエリスに使わせるけどな?
幸いどっちも強化するには何をもらえば大幅強化に繋がるかはわかる。
俺は口を開く。
「わかった。なら俺が決めるぞ?ラピロア様、俺とエリス両方に真覚をくれ」
「!?っ、ラグア様っ!?」
「真覚かー。さすがラグア。なかなかいいチョイスだね?」
俺のその言葉にエリスとラピロアの反応は正反対だった。
「エリス、俺は二つともお前が使う方がいいと思う。だが、俺はお前が俺が使う方に言ってきたことを全否定はしたくはない。だからこそ間をとった。まだ何かあるか?」
若干強い口調になったが、これは仕方がない。
ここらへんが落としどころだろう。
「…出過ぎた真似をしてしまい申し訳ございません。ラグア様から頂いたお力を使い、より一層ラグア様のお役にたって見せます!!」
エリスは最後はそう強い意志を持ってそう口にした。
いろいろとうまくいったようだ。
「あのさー、盛り上がってるところ悪いけど、それラグアがあげる力じゃなくて、ボクがあげる力なんだけど?ねー?聞いてる?ねーねー?」
そんなラピロアの声は俺の前に恭しく跪くエリスには届くことは決してなかった。




