第811話4番目の宇宙
「じゃーすぐに…」
俺はすぐにでもエリスを連れていこうとしたラピロアに待ったをかける。
「待て、ラピロア様。俺もついて行くから少し待て」
「ラグア…やっぱり過保護だよ…君…」
〜
〜約10分後〜
核玉の強化の方針はまとまった。
あとは一月待つだけだ。
「そーいえば神界守護神ってヤツは一体何を守ってるんだ?最高神はいないだろ?」
俺はダンジョンの攻略の件を一通り話あった後、雑談気味にラピロアにそう聞いた。
「まあアポ無しのお詫びもかねて教えてあげる。神界守護神はもう正確には守るものなんかないんだよね…。パパがいないことも知らずにパパが最後に出した命令を忠実に守り続けている悲しい存在だよ」
「ん?」
「今の原初の宇宙はもう最初の原初の宇宙じゃない。パパの魂が4つに砕けると同時に原初の宇宙も4つに分裂した。それでも一つ一つの宇宙は他の宇宙よりも大きいけどね?そして分裂したうちの最奥の原初の宇宙の中枢に位置する部分にはそれぞれの宇宙の神界を通り抜けないと辿りつけない。だいたいわかったかな?」
「ああ」
俺はそう相槌を打った。
つまりラピロアの親父の手下共が原初から数えて4番目までの宇宙には守護としてついてると?
いや、それってめちゃくちゃ強いんじゃねーか?
「ラグアが何を心配してるかはだいたいわかったけど、そこそこの力はあってもそこそこでしかないよ。最初の神界守護神はボクに殺されて次の神界守護神はアゼルメーテに殺された。オリジナル程の力はないよ」
「…ラピロア様にそこそこって言わせる時点で化け物じゃねーのか?」
「はははっ、そんな事ないよ?ラグアだってそこそこだよ?」
「それなんも安心していい相手じゃねーよなっ!?」
思わず俺は叫んだ。
「まあ今言えるのはこんなところだよ。じゃーそろそろ行こうか?」
「ああ、エリス?準備はいいか?」
「はっ、私はいつでも出発できます」
俺はエリスのその言葉を確認するとラピロアに向かって頷く。
ラピロアはそんな俺とエリスに向かって転移を発動させる。
こうして俺は昨日きたばかりだが、俺達はラピロアの拠点へと転移するのだった。




