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閑話その後のミグ・ヒピー


転移を使ってあたしはアルムスに戻ってきた。

ラグアを殺ってしまった以上、あたしの寿命は残りわずか。


「さて、どうしようかな?」


あたしは1000万年近い時を生きているが、振り返ってみると本当に好き勝手やってきた。

神魔大戦勃発時には、あたしの年齢はまだ3万を少し超えたぐらいのガキだった。

それでも当時1万を少し超えたジオっちや5000にようやく届いたミュラっちよりは上なんだけどね。

ミュンちゃんに至ってはまだ2歳だったし。

あたしは遠い昔の事を思い出した。

こんな事を考えるのも、自分の死期が近い事を頭ではわかっているのだろう。

テオレーム様は邪神の加護がついたラグアを殺したあたしを決して許しはしないだろう。

実際には殺していないが死ぬしかない状況にして、亜空間に閉じ込めたのは殺したのと同じだ。

今更、言い訳もするつもりもない。


うーん、最後に自分の国でも顔出すかな。

あたしはヒピー魔王国に向かって飛んだ。


〜〜〜


あたしがヒピー魔王国に着くとすぐに配下達が出迎えた。


「!?っ、ミグ様、よくぞお戻りに、すぐにシグ様を呼んで参ります。」


「あー急がなくていいよー。あの子も忙しそうだしさー。最後に顔見せに来ただけだしさ。」


「最後とは?」


「うん、ちょっとジオっちの件で無理し過ぎちゃってさ、近いうちにあたしはテオレーム様に消されるからさ。」


「………すぐにシグ様を呼んで参ります。」


この国は元々あたしの完全な独裁国家だ。

あたしが白と言えば黒いものも白くなる。

だからこそ、この国のナンバー3である、このアメーバロードの男も強くは言えないのだろう。

あたしには政治はできない。

難しく考えるのは苦手だ。

ただクーデターが起きるたびに、圧倒的な力で叩き潰しているうちにあたしの独裁も盤石たるものになっていった。

それだけの話だ。

そもそも今日は最後のあいさつをしに来ただけなのだ。

ふと自分に近づいてくる強い気配を感じた。

あたしが強いと感じる様な気配を放つものは、この世界でもそれほど多くはいない。

何よりその気配はあたしがよく知っているものだった。


「ミュラっち…」


「ミグ、ここにいればいずれ会えると思ってたよ。」


「誰の命令?テオレーム様?ロロ様?ソドム様はありえないけど…まあいいや、あたしの最後がミュラっちに殺されるならそれも本望だよ。でもちょっと待ってね。まだあいさつ終わってないし。」


ミュラはそのまま突っ込んでいきあたしの足元にクレーターを作り出した。


「魔王ミグ・ヒピーは妾の独断で今殺した。魔王ミグ・ヒピーは死んだ。何処へでも行くがいい。」


「えー、ミュラっちになら本当に殺されてもそれはそれでよかったのに…」


「バカか?妾がお前を殺す?そんな事ある訳ないだろう?そもそも妾ごときがお前を殺すなどできる訳ないだろう?」


「帝級スキル全部あたしが使わなければ大丈夫だよー。まあミュラっちはそんな事しなそうだけど。」



「ミグ、ロロ様はまだ戻っていない。逃げるなら今だ。ゾフィス夜王国に行け。あそこは地上はラグアに消されたが広大な地下都市はまだ生きている。あそこならしばらく身を隠すのにはちょうどいいだろう。ロロ様には妾が殺したと報告しておく。」


「ダメだよ。そんな嘘すぐバレちゃうし、そんな事したらミュラっちだって…」


魔王ロロ・ベアトリクスは自らの配下や味方にはとても寛大だ。

だが、裏切り者には容赦がない事でも有名だ。

すぐにバレる嘘が裏切りになるのかは正直わからない。

だが、そんな危険な事を親友にさせる訳にはいかない。

だが言い終わらないうちにミュラは言った。


「この1000万年近く随分お前のわがままに付き合わされた。ミグ、たまには妾のわがままに付き合え。それにロロ様にも妾は多少の貸しはある。お前と違って真面目に魔王をやってきたつもりだしな。たぶん、多少叱られるかも知れないがそれで終わりだろう。ゾフィス夜王国の地下なら妾の配下もいる。着いたら連絡をよこせ。」


ミュラはそう言い残し転移した。


ずるいよなー。

まあ、ミュラっちもミュンちゃんもあたしの事を思ってくれてるみたいで嬉しいけどね。


「姉上ー。お久しぶりですっ。このシグめ心配いたしましたぞっ」


美しい友情を台無しにする声が聞こえる。

コイツはあんまり好きじゃない。

この自称弟はめんどくさすぎる。

やっぱり顔出すんじゃなかった。

うん、ミュラっちの国に行こう。

めんどくさい。

放置が一番。


「姉上ー。待って下さいっ、姉上ー。」


あたしはゾフィス夜王国に転移した。

うんやっぱり、友情っていいよねー。









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