第810話力を求めて…2
「ダンジョンかー。最奥には何があるのかなー?なんかワクワクするねー」
既にリーゼは乗り気だ。
「…あんまり油断しない方がいいわよ?ぼろ負けしたのはまだ昨日なのよ?」
そんなリーゼとは対照的に姉ちゃんは慎重だ。
「最奥か…何があるんだろうな?ラピロア様はそこまでは教えてくれなかったしなー…そっちも核玉の強化に関係あるのか?」
「関係あるよ?原初から数えて4番目の宇宙の最奥の神界で当代の神界守護神を倒せば100%まで解放できるよ?」
「!?っ…おい?盗み聞きはよくねーぞ?」
俺がそう言うとゆっくりとその存在があらわになる。
白と黒のツートーンカラーの髪…
あどけないその姿は見た目だけなら10歳程度の子供を思わせる…
彼を知らない者なら指先で宇宙を消す化け物だとは絶対に思わないだろう…
「ラピロア様、アポ無しで来るのやめてくれねーか?」
「ん?そのアポをとりにきたんだけど?今回はラグアじゃなくてエリスって子に用があってきたからさ?」
「あ?前に言っただろ?エリスはやらねーぞ?」
「いや、そうじゃなくてアレをやろうと思ってさ?ラグア達はこれから忙しくなるだろうから、今の方がいいでしょ?」
「あー…」
俺は考える。
ラピロアのいうアレとはもちろんあのバトルイベントである。
エリスはさっきの話で防衛に回したから外せるのは今しかない。
ラピロアの言っている事は一応、理にかなっている。
エリスの強化も必要だろうから、合理的に考えれば行かせるべきだ。
だが…
「今回は見送りじゃダメか?」
俺は言った。
「ラグア、過保護すぎるよ?配下はちょっと放逐するぐらいの方が強く育つよ?君やエルミナみたいにさ?」
なんか全力で過保護になりたくなったのは気のせいだろうか?
エリスが俺やエルミナみたいになったら普通にやだ。
まあとりあえずエリスを呼ぶ。
〜
「ラグア様。エリス参りました」
エリスは俺の前に跪く。
「ああ、ラピロア様がお前と例のアレをやりたいんだってよ?リーゼのローテーションあるだろうからお前には負担をかけるが…」
「かなり余裕があるように組んだから大丈夫だよ。エリスを迎えにくることは半分ぐらいは予想がついたしね?」
そう答えたのはリーゼだ。
ならはじめから一ヶ月もいらんかったんじゃねーか?
なんて野暮な事を聞くのはやめておこう。
せっかくいい感じにまとまったのにその調和をあえて俺が崩すようなことはしない。
「ならあとはエリス?お前しだいだ。どうする?」
「はっ、ラグア様のお役に立てるよう精一杯やって参ります」
エリスの答えは即答だった。




