第809話力を求めて…
〜約2時間後〜
部屋にノックの音が響く…
「入れ」
気配で誰だかわかってる俺は短くそう言う。
扉が開きリーゼは入室する。
「とりあえず、いなかったリオ姉以外の襲撃のローテーションは組んできたよ。あとはリーゼがいなくても勝手に回るはずだよ。ん?リオ姉ここにいたんだ」
俺は今の今まで愚痴ってた姉ちゃんを見る。
まあ成り行きで姉ちゃんはまだここにいるが、いて困る事はないか。
「ああ、一月後のことで二人に話がある」
「一月後ってことは核玉の強化の件だよね?パパとリーゼと叔父さんで行くっていう…」
俺の言葉にリーゼはそう聞き返した。
「そうだな。まずは目的地からだ。原初の宇宙から数えて4番目の宇宙…起源神達の墓場と呼ばれる場所だ」
「なんか大層な響きだけど、つまりそこに核玉を強化するにあたって目的のものがあるってことよね?」
今度は姉ちゃんが俺にそう聞き返した。
「そうだ。核玉を次の段階に強化するのに必要なのは、1億の変質化したオリジンゴッドの魂…つまりはゴッズウェポンや神級武器や神級装備ってわけだ」
そう。
ゴッズウェポンや神級武器や神級装備の正体は散っていったオリジンゴッドの魂が長い年月をかけて変質化したものだ。
そもそも疑問には思っていた。
素材が何かは知らないが、大量の神格エネルギーにも耐え、なおかつオリジンゴッド…はたまたアラウザルゴッドにも通用するほどの能力を発揮する…
そしてその謎はこのあいだのラピロアとの戦いの対価により解けた。
「ふうん…だいたいわかったよ。今回はリーゼは使う暇がなかったし、リオ姉達は相手が悪すぎて使えなかったみたいだけど、リーゼ達に預けているのを含めて20にも満たないしね…」
そう。
長い年月…
まあ他のアラウザルゴッドからしてみれば大した年月ではないだろうが、それだけの時間をかけてなお、これだけしか集まらなかったのだ。
正攻法では無理と言わざるをえないだろう。
「つまりはそれが大量に手に入るのがそこってわけね?そこの情報は?まさかその辺に落ちてるわけじゃないでしょ?」
姉ちゃんが補足をしつつ俺に聞き返した。
姉ちゃんやリーゼと話している時は言葉が足りなくても理解してくれるから助かる。
「そこなんだが…」
俺はそこで言葉を濁してから再び口を開く。
「…その宇宙全体がダンジョン化してるらしい…最高神は既にいないらしいが、その宇宙固有の生命体…いや、神って言うべきか。神級獣や神装獣とかいう化け物やそれらを統括するウェポンゴッドとかいうヤツがそこら中にいてそれぞれの階層を支配しているらしい…」
そう。
馬鹿げた話だがここまでがラピロアから聞いた話だった。




