第798話第三形態と第四形態…
「準備はいいかな?ならラグアから…」
「核玉、神帝の絶対領域!!」
俺はラピロアが言い終わらないうちに発動させる。
「って…それはずるいって!?この形態じゃどうあがいても防げないんだよ?この形態じゃオルメテウス程の多彩な技も練度もないんだから!!出すにしても普通もうちょっとさ…」
文句も最後まで言えないままに、ラピロアは神格エネルギーを核玉に吸い尽くされる。
だが…
グチャッ…グチャグチャッ…
突如、第四形態で復活したラピロアから出てきた気持ち悪い幼虫の様な生き物に神帝の絶対領域が食われる…
「始まりの呪玉、神帝蠱毒。喰らい尽くせ」
気持ち悪い幼虫は神帝の絶対領域を喰らい尽くし、俺へと迫る…
咄嗟に逃げようとするが、何故か動けない…
口は…あ、なんとかギリギリ動く…
「お…おい…やめ…ろ…」
叫んだつもりが掠れそうな声しか出なかった。
だが、ラピロアは気付いたようだ。
「あ、ごめん。あまりにも見せ場がなかったから熱くなっちゃった」
ラピロアはふざけた幼虫を解除する。
同時に俺の体が動くようになる。
「ハハハっ、やりすぎちゃったよ…ごめんね?」
あぶねー…
殺されるとこだぞ?
実際当たってないからどうなるかはわからんが、高確率でやられてたぞ?
「たぶん大丈夫だよ。不滅の領域纏いを破っても、ラグアには不滅の概念があるからギリギリ生き残れる…」
「そーいう問題じゃねーよっ!!」
俺はパワハラ上司に向かってそう叫んだ。
神帝の絶対領域が喰われた事で奪った神格エネルギーも取り返されたが、それどころじゃない。
「まあ、第三形態を抜いたから帳消しに………怒らないでよ?わかったよ…帳消しプラスサービスでなんか適当にご褒美あげるよ」
これを狙ってやったのなら、ラピロアは理想の上司かも知れない。
いや、さすがにねーか。
こいつにそんな思慮深い行動ができるわけがない。
「いや、失礼だよ?」
読心で俺の思考を読み取ったであろうラピロアは言った。
「で?何くれるんだ?」
ここで俺は話を戻した。
「まあ今回は元々帳消しのつもりだったから大したものはあげられないけど、こんなのはどう?」
俺の中にラピロアの思考が流れ込んでくる。
たしかティナがやったヤツか…
俺は流れ込んでくる思考を読み取る…
これは…
「面白いでしょ?ラグアなら無駄にはしないはずだと思ってさ?」
「そうだな。戦後処理が済みしだいさっそく取り掛かる」
俺とラピロアはお互いに示し合わせた様な笑みを浮かべる。
俺はラピロアに別れを告げて自分の拠点に戻るのだった。




