第792話老害と揶揄された者達…6
「…ふざけてる…そんな事あるわけ…」
あまりにあまりなその能力にティナはそう言うしかなかった。
まあメフストニブルはわざわざ言わないだけで、弱点はある。
それどころか、デメリットは多い…
当たり前だ。
こんなぶっ壊れ能力を制限もなしに使えるはずがない。
一つ目はティナが気付いた様に複数の対象の運命を同時にねじ曲げる事は難しい…
完全にできないとは言わない。
空間を都合のいいようにねじ曲げることで複数の対象にかけることも可能だ。
効果範囲を広げれば広げる程効力は弱まるが、できなくはない。
ただ空間の運命をねじ曲げられる効果時間は術者の神格エネルギーに依存する…
メフストニブル程度の神格エネルギーでは大した時間、使用できない。
なら、神格エネルギーを上げればと思うかもしれないが、これは三つ目のデメリットにも関わる
二つ目は虚実の概念の発動中、他の能力を一切使えなくなることだ。
神としての身体能力は使えるが、それ以外は全て使用不能と化す。
要は転移すら使えないのだ。
空間にかけた場合、時間制限で解除になった瞬間に敗北は濃厚である。
三つ目は神格エネルギーの吸収能率が著しく低下すること…
全く増えないわけではないが、効率はとてつもなく悪くなる。
にも関わらず核玉の数値で20もの神格エネルギーを保有しているメフストニブルはどれだけの数のオリジンゴッドから神格エネルギーを奪ってきたのかは、考えるだけでも恐ろしい。
四つ目は起源の概念同様に、他の概念の習得ができないこと…
五つ目はアンチステータスゾーン同様に、術者の10倍以上の神格エネルギーを持つ存在にはキャパオーバーが発生すること…
以上がデメリットである。
一見後出しジャンケンを可能にする絶大な力に見えるが、三つ目と五つ目など完全に矛盾している。
そう。
メフストニブルがサーリーナを助けたのは、万が一にもキャパオーバーに陥るという最悪の事態を避ける為だった。
残りの弱点もいずれ気づかれる可能性がある。
なら…
「領域纏い、概念、虚実」
キャパオーバーをおこさない限り、触れたもの全てを自分の都合のいいように後から書き換えるメフストニブルの最強の力…
バレる前に殺す…
即時粉砕それがメフストニブルの答えだった。




