第791話老害と揶揄された者達…5
それはメフストニブルが言葉を言い終えた直後だった。
「領域循環」
ティナはサーリーナに向けて攻撃を再開していた。
「だからそれはダメ。領域展開、概念、虚実」
「領域展開、概念、遊戯」
メフストニブルが領域展開を発動する…それに一瞬遅れてティナも領域展開を発動する…
だが…
「拮抗!?なんで!?」
「それは僕のセリフだ。ふざけた神格エネルギーして」
ティナもメフストニブルも、互いの領域展開が拮抗したことが信じられずに驚愕した。
圧倒的な神格エネルギーを持つティナはともかく、何故メフストニブルもその表情を驚愕に変えたのか?
考えて見てほしい。
メフストニブルは一つの概念しか持たない。
当然そのたった一つの概念の練度は凄まじい…
そんなメフストニブルは多少の神格エネルギー差なら逆にゴリ押しできる自信があった。
もっとも多少ではなかったが…
「なら…」
そう言った瞬間、メフストニブルは消える…
「領域纏い、概念、遊戯」
ティナはいつでも対応できるように、今のうちに領域纏いを発動させておく。
場合によっては領域覚醒も使用も視野に入れている。
神の千里眼は常時発動…
ティナの死角はほぼ皆無と言っていい。
メフストニブルはまだ見えない。
なら…
「!?っ」
ティナは遊戯の領域纏い状態のまま再びサーリーナに仕掛ける…
その瞬間だ。
見えた。
おそらく自分がサーリーナにぶつかるタイミングにジャストで合わせてきたのだろう。
サーリーナを襲えば先程同様に守るのはわかっていた。
かなり距離はあるが、領域循環と領域覚醒を駆使すれば一瞬で肉薄できる。
ティナは思った。
「領域循環、領域覚醒!!」
ティナはかなりの距離があるメフストニブルに一瞬で肉薄する。
虚実の概念の正確な能力はわからない。
何しろ18柱帝の時代のメフストニブルとの戦いは1回のみ…
それもメフストニブルはほぼ逃げに徹していた。
だが、違和感の正体だけはわかった。
メフストニブルは同時にサーリーナと自身に概念を使えないのだ。
先ほどの違和感はほんの一瞬だけ視界の端に見えたメフストニブルの姿だった。
「さすがティナ。僕の概念の弱点にこんなに早く気づいたのは、君がはじめてだ。けど…」
ティナの一撃はメフストニブル直撃する…
今度はしっかり手ごたえがあった。
だが…
何故かメフストニブルは何事もなかったかの様にその場に立っている上に、領域纏いを使ってないにも関わらず神格エネルギーの移動も行われない。
「僕の弱点を見抜いた褒美だ。少しだけ教えてあげる。僕の虚実は僕が勝手に作り出した虚偽を現実に…現実を虚偽に変える…つまりね?使い方しだいじゃ運命を都合のいいようにねじ曲げてなかったことにできる」
そんなふざけた能力を説明するメフストニブルに、ティナはただ驚愕するしかなかった。




