第785話エリローズVS鬼情3
何故鬼情はエリローズの攻撃を全て躱すことが可能だったのか?
それは…
「神界と深くリンクしている余は神界内であれば、タイムラグなしの自動転移を可能にする…この意味がわかるか?」
つまり鬼情の意思とは無関係に自身に危害が及ぶ攻撃を自動的に躱す事ができる…
反則である。
「発動、概念、天刃、光天、神氷、炎舞、虚空、雷神…」
エリローズは神格エネルギーを込めながら次々と概念を発動させる…
もちろんその全てがエリローズの支配の概念の支配下にある…
「なるほど、もぐら叩きですか…。そのハンマーが無数でも躱しきれると言うのなら見せてください」
「無駄な事を…」
偶然か…ラグアとオルメテウス同様、エリローズと鬼情もイタチごっこがはじまろうとしていた。
だが、鬼情がオルメテウスと違うのは鬼情は伺っていたのだ。
虎視眈々と反撃の機会を…
〜
戦闘がはじまってしばらくの時間が経過する…
エリローズの猛攻により鬼情はもはや絶えず神界転移を繰り返していると言ってもいい状態だ。
だが、鬼情は狙っていた。
エリローズに多数の概念を発動させたのは鬼情の狙い通りだった。
神界転移は絶対だ。
それこそ神界全域に神格エネルギーを込めた概念を発動させれば、さすがに逃げ場はない。そんな事はできないとは言わないが、この一瞬では無理だ。
集中して概念を発動する前提では、オリジンゴッド同士の戦いでは致命的な時間がかかる。
そしてそんな致命的な隙を見逃す鬼情ではない
つまりエリローズはこの方法は使えない。
そして鬼情の狙い…
それは数多の概念を同時発動させているエリローズに生まれる隙の瞬間…
いかに圧倒的な神格エネルギーを持つ、なり損ないのイナゴと言われるオリジンゴッドとはいえ、その集中力が無限に続くわけがない。
ムラはある…
そしてもっとも大きな隙が生まれた時に残していた制約の余力を全て注ぎ込み、自らの強化にあてる。
チャンスは一瞬…
見逃してなるものか。
鬼情は思った。
〜
更に戦闘は続く…
そしてその時はついに…きた。
「制約、神格強化っ!!」
「っ!?」
その瞬間、鬼情のステータスは爆破的に上がる…
対するエリローズは長い戦闘で集中力が切れはじめている上に、自身の攻撃を躱された直後で体勢は最悪…
誰がどう見ても防ぎようがなかった。
鬼情の全身全霊を込めた一撃がエリローズに直撃する…
だが…
「…やってくれましたね…ちょっとヒヤリとしましたよ?」
鬼情の一撃は確かにエリローズに直撃した…
ただ鬼情の唯一の誤算は、なり損ないのイナゴ…それも膨大な神格エネルギーを持つまでに至ったその存在を甘く見過ぎていたことだ。
たしかにダメージはある。
だが、それは核玉の数値でいえば約2…
膨大な神格エネルギーを持つエリローズにしてみれば誤差のような数値だった。
そう。
鬼情の一撃は威力が足りなさ過ぎたのだ…




